信頼できるザック以下スタッフの経験値 W杯、日本の勝機はコンディショニング

後藤健生

失点は覚悟の上のチーム作り

ザッケローニ(右)らスタッフたちの豊富な経験と、JFAに蓄積された暑熱対策のノウハウが融合すれば、コンディショニングは信頼できる 【写真:Pedja Milosavljevic/アフロ】

 日本代表は直前の準備試合を3連勝で終えた。
 米国・フロリダでの2試合は、いずれも先制ゴールを奪われる展開で守備面に不安はある。だが、もともとチーム作りの段階から守備面の強化は無視、無視と言って悪ければ軽視していたのであり、失点は覚悟の上だろう。「3点取られたら、4点取ればいい……」。ザンビア戦は、まさにワールドカップ(W杯)本大会のシミュレーションのようなゲームだった。

 もっとも、逆に言えば「3点取っても、4点取られて負ける」こともあるわけで(昨年のコンフェデレーションズカップのイタリア戦のように)、きわめて不安定。ハラハラ、ドキドキの3試合が続くことだろう。

ブラジルの暑さは日本の味方

 日本国内の合宿から、フロリダ州での合宿を含めて、コンディショニングは順調に進んでいる。全体に重そうなキプロス戦(5月27日/1−0)を経て、コスタリカ戦(6月3日/3−1)は暑さに苦しんでいたが、ザンビア戦(6月7日/4−3)は暑さにもだいぶ慣れてきた日本代表。最後の時間帯は、ザンビアの方が暑さで足が止まってしまった。

 ただ、Jリーグ組の選手にとっては暑さもほとんど苦にならなかったようだが、ヨーロッパ組はまだ暑熱対策も十分とは言えないかもしれない。
 人間の体は1年環境の違うところで過ごせば、見事に新しい環境に順応してしまう。暑さに強い体を取り戻すのには時間が必要なのだ。

 とくに、本田圭佑は気温の低いロシアで数シーズンを過ごしているので、暑さへの適応は難しい。ブラジルW杯アジア予選の中で、オマーンとのアウェーゲーム(12年11月14日/2−1)は非常に気温が高い試合だったが、モスクワから飛んで来たばかりの本田はまったく動けなかった。今回も、コスタリカ戦での本田の汗のかき方が気になった。これから数日で本田のコンディションがどうなるのか。大いに注目したい。

 日本の選手は、高校生年代では真夏の35度もある環境で連戦もこなしていたわけだし、Jリーグは真夏にも試合がある。そして、日本代表は東南アジアや中東の暑い環境で試合をしている。暑熱対策のノウハウも蓄積されており、選手たちも給水をうまくこなす。コンディショニングさえしっかりできていれば、暑さは日本にとって味方になるはずだ(とくに、相手がヨーロッパのチームだった場合)。

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著者プロフィール

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、観戦試合数はまもなく4800。EURO(欧州選手権)は1980年イタリア大会を初めて観戦。今回で7回目。ポーランドに初めて行ったのは、74年の西ドイツW杯のとき。ソ連経由でワルシャワに立ち寄ってから西ドイツ(当時)に入った。

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