「最も悲しい日」となった代表発表 ファルカオ欠場を選択したコロンビア

池田敏明

コンディション不良で外れる選手が続出

エース不在となるコロンビアだが、その穴はバッカ(写真右)やグティエレスらが埋めることになる 【Getty Images】

 他国が続々と最終メンバーを発表する中、ペケルマン監督はFIFAへの最終登録選手提出期限日である6月2日まで結論を先延ばしにした。ファルカオに加え、上述したようにムリエルやペレアもケガを抱え、31日のセネガル戦ではMFアレクサンデル・メヒアが相手選手との激しい接触で負傷したため、彼らの状況を見ながらメンバーを決める必要があったためだ。

 そして迎えた6月2日、発表された23人の中に、残念ながらファルカオの名前はなかった。外れたメンバーにはムリエルとペレアの2人もいた。本来ならチーム戦術への適応力などを見極めた上で外れるべき選手を選出したいところだが、コンディション不良により、純粋な競争が起こることなく最終メンバーを決めざるをえなかったというのは、不運以外の何ものでもない。
「私がコロンビア代表の監督に就任して以来、今日が最も悲しい日だ。このような決断を下さなければならなかったのは、非常に辛かった」。栄えある最終メンバー発表の席上でそう語ったペケルマン監督の表情は冴えなかった。

感傷に浸る暇なくギリシャ戦に向け最終調整

 当事者のファルカオも無念さをにじませていたが、既に吹っ切れたようで、チームをサポートすることを約束した。「コンディションはかなり良好だけど、100パーセントの状態にある仲間からプレーする機会を奪いたくはなかったし、自分に嘘をついてまでピッチに立ちたいとは思わなかった。もちろんW杯に参加したいという夢は持ち続けていたけど……。今後は外側からチームをサポートしなければならないと思っているし、彼らにはベストを尽くしてほしい」

「最も悲しい日」を経験したコロンビアだが、感傷に浸るのはここまで。6月6日には最後の調整試合となるヨルダン戦が控えており、本大会開幕も目の前だ。夢破れた男たちのためにも、全力で戦うための準備をしなければならない。

「最高のW杯にしたい。今この瞬間からギリシャ戦のことだけを考え、万全の準備をしていきたいと思う」と、決意を新たにしたペケルマン監督。
 ファルカオが抜けた前線はグティエレスとバッカの2トップが、そしてペレアが離脱したセンターバックはクリスティアン・サパタがマリオ・ジェペスとコンビを組むことが濃厚だ。ここから10日あまりでどこまで連係を確立できるかは分からないが、もはや後戻りはできない。コロンビアに残された道は、ひたすら前進あるのみ、である。

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著者プロフィール

大学院でインカ帝国史を研究していたはずが、「師匠」の敷いたレールに果てしない魅力を感じて業界入り。海外サッカー専門誌の編集を務めた後にフリーとなり、ライター、エディター、スペイン語の翻訳&通訳、フォトグラファー、なぜか動物番組のロケ隊と、フィリップ・コクーばりのマルチぶりを発揮する。ジャングル探検と中南米サッカーをこよなく愛する一方、近年は「育成」にも関心を持ち、試行錯誤の日々を続ける

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