国立競技場が残した輝く歴史と遺産 スタジアムツアーで足跡を振り返る

スポーツナビ
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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

輝く聖火台を前に記念撮影

聖火台を前に参加者は思い思いに記念撮影 【スポーツナビ】

 ここから神宮球場方面に通路を回ってスタジアムに入り、バックスタンド中央付近から最上段まで階段を上ると、この日のハイライト、聖火台(炬火台)が目の前に現れた。高さ・直径ともに2.1メートルの鋳物は、近くで見れば見るほどピカピカに輝いている。聖火台はつや出し効果のある食用ごま油で定期的に磨かれており、アテネ五輪男子ハンマー投金メダルの室伏広治(ミズノ)も、09年から毎年、聖火台磨きに参加しているという。

 聖火台の見つめる先に目をやると、眼下に広がるのは国立競技場の全景だ。黄緑色のピッチと赤土色のタータンのコントラストがとても鮮やかで、まもなく幕を下ろす競技場とは思えない美しさを誇っている。誰もが一度は憧れる聖火台を間近にし、参加者は思い思いに記念撮影をしたり、競技場を一望しながら思い出話に花を咲かせていた。
 横浜市から来たという井上淳(43)さんは、「国立に来たことは何度もあるけど、全体をこうやって見ると、あらためて感動がある。(来場した)当時の記憶がよみがえりますね」と思いにふけっている様子だった。

 聖火台に別れを告げ、一行は通路を下ってホームスタンドへ。オレンジ色の座席が並ぶ中、中央部分のみ、青色のシートが並んでいる。このエリアはVIP席で、その最上段には皇族専用のロイヤルボックスが設置されている。ロイヤルボックスの向かって左端の壁には、相撲の元祖である野見宿彌(のみのすくね)が、右端にはギリシャ神話の勝利の女神像であるニケの像が描かれている。説明によれば、2つの壁画はそれぞれ「力」と「美」、「和」と「洋」を表しており、ロイヤルボックスに座る皇族がそれらを調和するとされている。参加者はロイヤルボックスに入り、普段は見ることのできない、特別席から眺める景色を楽しんでいた。

最後はラグビー……そして6年後へ

最後にはラグビー日本代表の練習を見学 【スポーツナビ】

 本ツアー最後のプログラムは、香港戦を控えたラグビー日本代表の練習見学だ。W杯出場権が懸かる大事な一戦直前とあり、スタジアムには独特の緊張感が漂う。わずか15分間の練習公開だったが、参加者はスタンドの最前列に駆け寄り、選手の一挙手一投足を食い入るように見つめていた。

 練習の見学後、日本ラグビー協会の稲垣純一理事が「最後の試合をラグビーで締めることができて、ラグビー関係者としてうれしく思います」とあいさつすると、参加者からは自然と拍手が沸き起こった。みなとスポーツフォーラムには何度も参加しているという植田彰子さん(55)は「(国立競技場では)いろんなラグビーの試合を見てきました。聖火台まで行ったことのある友人から話を聞いて、ぜひ私も行ってみたいと思っていました。こんな少人数で見ることができて感動しました」と、笑顔で感想を語った。

 国立競技場は31日のファイナルイベントをもって全ての役割を終え、7月からは解体工事が始まる。6年後の東京五輪・パラリンピックに向けての本格的な準備がスタートしたとも言えるが、思い出の詰まったスタジアムとの別れは寂しいもの。参加者は皆、名残惜しそうにスポーツの聖地最後の姿を目に焼き付けていた。

協力:(公財)日本ラグビーフットボール協会

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