目覚めた明治、日本一は「遠くない」 変わりつつあるスター軍団
1996年度以来、大学選手権の優勝なし
昨年は大学選手権セカンドステージで敗退した 【写真は共同】
しかし、王座からは長らく遠ざかっている。通算12回の大学日本一に輝くも、最後の優勝は1996年度。今年の新入生が1995年生まれとあって、隔世の感がある。一昨季までの4年間は部の伝説的選手だった吉田義人監督が率いるも、全国4強入りが2回という成績で退任。前年度は丹羽政彦監督が就任したが、所属する関東大学対抗戦Aで5位、日本一を争う大学選手権でも3季連続の予選プール敗退に終わった。極論を言えば、いい選手がいるのに勝っていないのである。
「プライドを持ちすぎていた」
「僕が思うのは、プライドかなと」
明確な答えを示したのは、3年生のフッカー中村駿太である。先の20歳以下代表でも活躍、桐蔭学園高時代はメンバー同士のミーティングで競技の構造を学んだ知性の人は、過去の現実を踏まえて光を見出していた。
「自分のプライドを持ちすぎていて、コーチや周りの選手たちの言うことに素直になれないというか……。後輩にアドバイスされたら『ん?』となったり。でも今年は、勝つために1年生、2年生ともコミュニケーションが取れるようになった。言いたいことを言えるようになった。変な上下関係もなくなりましたし」
極度に厳しい上下関係と各種の因習は、丹羽監督や圓生正義前主将(ホンダ)が撤廃した。勝木主将も「今年は全員で勝ちたい。下級生がのびのびできるように」とその意を受け継いでいる。最低限の礼儀と規律は指導しつつ、「僕はフレンドリーな方で、後輩ともご飯に行って悩みを聞く」らしい。メイジなりのウイニングカルチャーが、徐々に、作られつつある。
自分たちの明るい未来を信じる
しかし、勝木主将は胸を張る。「日本一……。遠くはない。全然、獲れると思います」。大げさに表現すれば、自分たちの明るい未来を信じているのだ。
「練習への意識が高くなりました。100パーセントでやると言ったら、皆が100でやる。やってきたことが試合に出ている。この状態を秋に向けて、どれだけピークに持っていけるか、です。そのあたりで、僕の力量も問われると思うんですけど」
きょうも紫紺のジャージは早くに目覚め、才気を開放させる。学生スポーツでは最上級生の充実ぶりが重要視されるが、今年は明大ラグビー部のどの選手も「4年生がまとまっている」と口にしている。