――一方の女子ですが、本戦にストレートイン（予選免除）するのはクルム伊達選手、奈良選手、土居選手の３人です。女子選手の活躍はどう予想されますか？

　ドローが大事でしょう。特に女子は、クレーコートだとヨーロッパに強い選手がたくさんいるので、シード選手には当たりたくはないはずです。ただ、奈良選手はもっとも苦手とするクレーコートのリオ・オープン（２月、ブラジル・リオデジャネイロ）を制しています。彼女は背も高くないですし、ボールの回転・質から見てもクレーコート向きではありませんが、もともと持っている粘り強さの中に、展開の早いショットを打ち込んで優勝をつかみました。同じことをこの全仏で、しかも競った時にできるかに注目したいですね。（世界ランキング１位の）セリーナ・ウィリアムズ（米国）だったら分かりませんが、他の選手と当たって簡単に負けることは、今はないでしょうね。

――海外勢の注目選手を教えてください。

　女子については、今は本当に「この選手が勝つ」というのはないんです。ただ、セリーナという選手だけがずば抜けているのは、プレーの面や戦略においても間違いありません。とはいえ、年齢的なものもありますし、ケガも多くなってきているので、少し力が落ちてきていると言ってもいいのではないでしょうか。ですから、グランドスラムでセリーナ選手に勝ちたいなら全仏オープンだと思います。それだけ、今回は勝つチャンスがあります。

――女子は男子以上に混戦になりそうですね。

　それだけ実力がきっ抗しているし、面白いということだと思います。クルム伊達選手もいますしね。

――奈良選手や土居選手は、クルム伊達選手を憧れの存在に挙げています。クルム伊達選手が活躍すれば、後輩たちにもいい刺激になります。

　トップ選手に勝つ要素をもっとも持っているのは、クルム伊達選手であることは間違いありません。テニスが断然うまいんです。ただ、体力的にそれが継続できるかとなると、年齢との勝負になってきます。クレーコートとはいえ、あれだけライジングショットをどんどんたたける人はいないし、あそこまで勝ちたいと思っている選手もいません。かんかん照りのハードクレーコートみたいな状況であれば、クルム伊達さんは大喜びでしょう。ぜひ晴れてほしいですね。

――若手の台頭があるとはいえ、クルム伊達選手が勝る部分はまだたくさんありますね。

　やはり経験もありますし、全盛期にベスト４に入っている人ですから。しかも、ベスト４入った時よりも、今の方がテニスも戦略の立て方もうまいんです。それに情熱もすごい。だから、相手との戦いというよりも、自分との戦いという方が、今は強いのではないでしょうか。

――最後に、全仏を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。

　全仏にはいろんな雰囲気があります。僕はテレビの解説者として皆さんにもお伝えしますが、映像だけでは伝わらないものがあります。だからこそ、皆さんがテレビを見ている時でも、会場で観戦しているような気持ちになってもらえるように解説をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。


◆◆◆ＷＯＷＯＷ番組情報◆◆◆
★全仏オープンテニス
２０１４年シーズンのグランドスラム第２戦。　“日本のエース”錦織圭の戦いをはじめ、現地の感動と興奮を連日生中継でお伝えする。
【放送日】５月２５日（日）〜６月８日（日）連日生中継！　※初日無料放送
６月１日（日）午後５：００〜　全仏オープンテニス　錦織圭　激闘スペシャル！　※無料放送

★ウィンブルドンテニス
歴史と伝統のウィンブルドン。“日本のエース”錦織圭の戦いなど、現地の感動と興奮を連日生中継でお伝えする。
【放送日】６月２３日（月）〜７月６日（日）連日生中継！（２９日除く）　※初日無料放送
６月２２日（日）夜１１：３０〜　明日開幕！ウィンブルドンテニス直前スペシャル！　※無料放送