走快! ニューヨーカーの自転車ライフ

三原卓也

【Getty Images】

【三原卓也】

 4月に入っても雪が降り、厳しい天気が続いていたニューヨークもやっと春らしい気候が続くようになってきた。そんなニューヨークで、ピクニックや外での運動を楽しむ人達が増えている中、中心部であるマンハッタンの街中でよく見かけるのが「Citi Bike」に乗る人たちだ。

 Citi Bikeは、大手金融企業のシティグループがスポンサーを務めるバイクシェア(自転車共有)システムで、2013年5月の導入以来、「ニューヨーク市民と観光客の足」として人気を誇っている。

米国内はもちろん、欧州でも普及

【三原卓也】

 年間登録者数は現在10万人を超え、多い日には1日4万回以上使用されている。通勤はもちろんのこと、ちょっとしたおでかけにも便利という点が重宝されているようだ。年間登録費が95ドル(約1万円)と低額なのも魅力で、地下鉄・バスの1カ月の定期が112ドルであることを考えると、お財布にも優しいシステムである(日・週単位での契約も可能)。

 バイクシェアシステムは、米国各地でも導入されており、近年では11年にボストンで導入されたHubwayや、12年にテネシー州・チャタヌーガで導入された Bike Chattanoogaが記憶に新しい。米国以外でもフランス、フィンランド、スウェーデン、スペイン等、ヨーロッパを中心にさまざまな都市で普及している。

健康的で快適な通勤生活

【三原卓也】

 筆者もCiti Bike愛用者で、悪天候の日を除いて毎日会社までの往復約40分弱の道のりを自転車通勤している。朝は日差しを浴びての走行が気持ちがよく目が覚めるし、バス・電車のラッシュアワーも避けられるため、通勤がとても健康的で快適になったと実感している。

 仕事でジム通いが継続できなくても、1日の通勤で40分自転車を漕いでいれば罪悪感も多少なくなる。地下鉄やバスの交通網が発達しているマンハッタンではあるが、Citi Bikeは至るところにステーション(全330箇所、約4000台の自転車台数)があり、手軽な移動手段として使用できる点が気に入っている。

 多くの道路が自転車専用の道をしっかり確保しており、それらのレーンを走っていれば安全面でも安心だ(ヘルメットの着用は推奨されている)。

運動不足解消にも役立つ

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 主に通勤時にCiti Bikeを使用するというアマンダさん(女性・20代)は、 マンハッタンの最南部からミッドタウンまでの約10kmを、毎日片道30分強かけて通勤している。

「早朝に人より早く家を出て、Citi Bikeで通勤するのが気持ち良い。そのうち週2回は会社付近のジムに行き、朝のヨガレッスンを受けて、ジムでシャワーを浴びてから出勤するのが私のルーティンになっているの」と爽やかに語ってくれた。

 同じくCiti Bikeユーザーのロビンさん(男性・40代)は、「元々自転車に乗るのは好きだったけど、マンハッタンに引っ越してから家に自転車を置くスペースもなく、駐輪場も近くにないから自分の自転車は手放してしまった。Citi Bikeができてからは、休みの日の移動によく利用しているし、運動不足解消にも役立っているよ。ちなみに妻も会員で、自転車で一緒に出かけたりもするんだ」と教えてくれた。Citi Bikeはこうして人々の日常、そして運動に深く結びついている。

 日本でも「チャリ通族」という言葉ができるほど、自転車通勤をする人が増加傾向にあり、最近では横浜市がNTTドコモ社との協力のもと、「baybike(ベイバイク)」というコミュニティーサイクル事業を始め、話題となっている。

 これを機に読者の皆様も、自転車通勤を検討してみるのはいかがだろうか。
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著者プロフィール

ニューヨークを拠点とするスポーツビジネスに特化した会社、リードオフ・スポーツ・マーケティングの事業開発ディレクターとして、スポーツ留学サポート事業等、多くの国際事業を展開中。前職は、米マイナーリーグ球団スタッテンアイランド・ヤンキース(MLBニューヨーク・ヤンキース傘下)にてスポンサーシップ・ディレクターを務める。海外歴17年、ニューヨーク住まいは早7年目。ニューヨークならではのオススメDo情報をお楽しみに!

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