日本代表を「選んだ」若き逸材 南アフリカで進化した松島幸太朗

斉藤健仁

「W杯で勢いをつけてスーパーラグビーへ」

昨季途中からサントリーに加入。将来的にはスーパーラグビーを目指す 【斉藤健仁】

 昨年11月の日本代表の欧州遠征、岩渕健輔ゼネラルマネージャーが「(エディー・)ジョーンズHCが実際にプレーを視察し、私もジョーンズHCとともに何度も本人と話をした上で、以前から日本代表チームの構想に入れていた。南アフリカでのタフな経験を今後代表チームで活かしてくれることを期待している」と語ったように、ついに指揮官は松島を初選出。グロスターとの強化試合に初出場を果たした。

 遠征後の12月、松島はサントリーに入団を決めた。トップリーグへの正式な登録は今シーズンからだが「日本代表に選ばれたこともあり、距離の問題もあったので、やるからには強いチームでプレーしたいと自らサントリーにお願いした」と帰国した理由を語った。

 それでも、心の中にある思いは大きくなるばかりだ。「一緒にプレーしていた選手が、すでにスーパーラグビーのリザーブとして出場している。ワールドカップ(W杯)に出場して、勢いをつけてスーパーラグビーで活躍したい!」。そう語る21歳の青年の目は高校時代とは違い、自信に満ちあふれていた。

「若い選手たちはライバルというか仲間です」

ジョーンズHCは松島について「一番の強みはランニング」と語る 【斉藤健仁】

 松島を気にかけてきたジョーンズHCは、FB五郎丸歩副将の控えとして名指しし、「才能のある選手だと思う。一番の強みはランニングだ。彼に理解してほしいのは、ジャパンはボールを保持するラグビーがベースで、キックするときはスマートにならないといけないということ。彼は今、いつランをするか、キックをするかを学んでいる」と、さらなる進化に期待を寄せた。

 日本代表は5月3日のフィリピン代表戦から始まる「アジア5カ国対抗」で優勝すれば、南アフリカ代表とも対戦する来年のW杯出場を決める。松島は「そこまでW杯は意識していませんが、日本代表のプライドを持って試合に出て、成長した姿を見せたい。カウンターが得意ですし、一番、自分を出せるのはFBだと思いますが、WTBもやりながらスキルを磨いていきたい」と意気込んだ。初キャップも時間の問題であろう。

 松島が大学に進学していれば4年生であり、日本代表スコッドのLO小瀧尚弘、SH流大(ともに帝京大4年)、一浪して進学したWTB福岡堅樹(筑波大3年)とは同年代で、藤田、石井の一つ上の学年にあたる。自国開催の2019年W杯は、もちろん中心選手となりうる。「2019年のW杯にも出場したい。若い選手たちはライバルというか仲間です。一緒になって日本代表を引っ張っていかなければいけないと思う」(松島)

 かつて花園を沸かせた選手たちが大きく成長し、日本代表でも輝きを見せることができるか。若手の台頭が2015年だけでなく、2019年のW杯の成功にもつながっていく。南アフリカで一回りも二回りも大きくなった松島が、エディージャパンのエースの座を虎視眈々と狙っている。

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著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

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