井岡の3階級制覇なるか!? 金子は再起戦=5月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

内山からダウンを奪った金子が再起戦

昨年末に内山高志からダウンを奪うなど年間最高試合の熱戦を演じた金子大樹が地元・愛知で再起戦を行う 【花田裕次郎】

 昨年の大晦日、WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(ワタナベ)に挑み、10ラウンドに絶対王者からダウンを奪うなど、年間最高試合の熱戦を演じた金子大樹(横浜光)が31日、再起戦を行う。舞台は金子の故郷・愛知県田原市からほど近い豊橋市総合体育館。豊橋には中学3年の終わりから16歳の秋まで、電車で50分かけて通い続けたボクシングジムがある。夢をふくらませた思い出深い場所からの再出発に「身が引き締まる思いもあるし、心機一転、また世界を目指して地元から飛び立つという感じで願ってもない」と金子は歓迎している。
 世界初挑戦を「経験やテクニックで1枚も2枚も内山さんが上だと感じたし、引き出しの多さに翻弄された。状況に応じて瞬時に切り替える柔軟な対応力はさすが」と振り返る一方で「負けて気づかされたことが多々あったのでプラスに考えている」と話す。現在は肌で感じたその攻防技術をスパーリングで試し、「こういうことだったのかと手応えもあるし、すごく楽しい」と充実した日々を送る。

 再起戦の相手は元東洋太平洋ランカーの石川昇吾(新日本木村)。東洋太平洋王座挑戦から3連敗中だが「世界ランカーの自分を食ってやろうという気持ちでくると思うので怖い」ともちろん油断はない。その上で「新しい自分を見せたい。金子はまた強くなったな、と思ってもらえないと意味がない」と目をぎらつかせる。換言するなら“頭も体も柔軟に”が金子のテーマ。敗れてなお、将来の世界王者候補と評価を上げた25歳の進化を見届けたい。

チャーリーと石本が海外で重要な一戦へ

 日本の2選手が海外でそれぞれ重要な一戦に臨む。24日(日本時間25日)、チャーリー太田(八王子中屋)がカナダ・モントリオールで23戦全勝(11KO)のホープ、ジャメール・チャーロ(アメリカ)とスーパーウェルター級12回戦を戦う。世界的強豪が名前を連ねるこの階級では世界挑戦を実現することすら難しい。元東洋太平洋・日本スーパーウェルター級王者のチャーリーにとって生まれ故郷ニューヨークでの2度に続く北米エリアで3度目のリングは、チャンスを引き寄せるための正念場となる。

 31日、マカオで行われるIBF世界スーパーバンタム級指名挑戦者決定戦で同級5位の石本康隆(帝拳)が4位のクリス・アバロス(アメリカ)と拳をまじえる。アバロスは昨年11月、日本でロリー松下のリングネームで戦った元東洋太平洋バンタム級王者のロリー・ルナス(フィリピン)を3ラウンドTKOで一蹴した実力者。だが、石本も同じマカオのリングで昨年4月、元WBO世界スーパーバンタム級王者で当時WBO1位のウィルフレド・バスケス・ジュニア(プエルトリコ)を判定で下す殊勲を挙げている。一昨年2月に日本王座挑戦に失敗している32歳が、長谷川穂積(真正)を退けたキコ・マルチネス(スペイン)への挑戦権を一気につかみ取るのか。こちらも勝負のリングだ。

17日は女子W世界戦、25日は真道のV2戦

WBC女子世界フライ級王者の真道ゴーは地元・和歌山で2度目の防衛戦に臨む 【写真は共同】

 5月は女子の世界戦が3つ。17日の大阪・アゼリア大正ではダブル世界戦が行われる。宮尾綾香(大橋)にWBA女子世界ライトミニマム級のベルトを奪われた後、3度目の挑戦で2つ目のベルトを手にしたWBC女子世界ミニマム級王者の安藤麻里(フュチュール)が、同級10位のサウスポー黒木優子(YuKOフィットネス)を迎えて初防衛戦を行う。黒木は2度目の挑戦でのベルト奪取を期し、福岡から乗り込む。もうひとつは新設のWBO女子世界アトム級王座を池山直(フュチュール)とジョゼベル・パガディアン(フィリピン)が争う。池山は昨年12月、ジムを移籍して3年ぶりに復帰した44歳。

 25日には和歌山ビッグウェーブで性同一性障害と向き合いながら戦うWBC女子世界フライ級王者の真道ゴー(クラトキ)が、同級9位のクレドペッチ・ルックムアンカン(タイ)との2度目の防衛戦に臨む。初防衛戦ではダウンを挽回した末の判定防衛。世界奪取から3戦続けて上がる地元のリングで、今度は快勝を見せたい。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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