五味隆典が13カ月ぶりにUFC復帰=見どころ
「UFC172」で強敵ヴァリーフラッグと復帰戦に臨む五味隆典 【(C)Photo Courtesy of UFC】
“火の玉ボーイ“復活戦の相手は強豪ヴァリーフラッグ
五味は13年3月の日本大会以来のオクタゴン復帰 【t.SAKUMA】
背水の陣で臨んだ12年2月の日本大会で光岡映二をTKOして復活の狼煙を上げ、つづくマカオ大会でもマック・ダンジグを接戦の末に破って大会ベスト・ファイト賞を受賞。そして迎えた13年3月の日本大会では、1Rに右拳を骨折しながらも、TUFシーズン1優勝の人気選手ディエゴ・サンチェスを相手に戦い抜いたが、1−2のスプリット判定に泣いた。サンチェス戦についてはUFCのデイナ・ホワイト社長も、勝ったのは五味だと発言しているが、裁定は覆ることがなかった。
骨折した拳の治療のため長期欠場を強いられ、13カ月ぶりに復帰戦を行なうことになったが、相手のアイザック・ヴァリーフラッグは、実はとんでもない強豪だ。JZ・カルバン(HERO’Sミドル級GPで宇野薫や高谷裕之、ハニ・ヤヒーラ、アンドレ・ジダらを破って2連覇)やイーブス・エドワース(三島☆ド根性之助やエルメス・フランカ、ジョシュ・トムソンを破った男)に勝利しているのである。
五味を破ったギーダやサンチェスと、ジャクソンズMMAでチームメイトであり、彼らや名将グレッグ・ジャクソンからも五味対策を授かってくるに違いない。その点でも厄介な相手だ。彼の最大の武器はスタンドでの打撃である。とにかくパンチやキックを出し続けながら前に出続けて圧力をかけてくる選手で、非常に打たれ強く、KO負けは1度もない。
五味は今回、徹底してレスリング特訓をした。ヴァリーフラッグの数少ない弱点はテイクダウン防御の甘さだと見てとったのだ。実際、JZにもエドワースにも何度もタックルで倒されているし、UFCでのテイクダウン防御率は50パーセントと、決して高い方ではない。
ただ、テイクダウンされてマウント・ポジションやバックを奪われても、そこからサブミッションを決められたりパウンドでTKOされたりすることなく立ち上る技術は非常に高い。だから、倒してから立たせず抑え込む力をつける特訓も、五味は行なっている。
五味隆典というと、どうしても強烈なパンチばかりが注目されがちだが、もともとはレスリング力が強く、タックル、寝技で抑え込んでのパウンドという武器があり、それがあるからこそ、スタンドでの打撃もより一層活きてくるという選手だった。五味が本来持っていた戦い方を取り戻して強敵ヴァリーフラッグを倒すことができれば、もう一度上位に食い込んでいくことができるはずだ。いまや35歳となった五味隆典――正念場の一戦である。
苦戦防衛からの名誉挽回狙うジョーンズ
ゼッタイ王者ジョン・ジョーンズは20連勝中の強豪テイシェイラと防衛戦 【(C)Photo Courtesy of UFC】
ライトヘビー級に敵なしと言われヘビー級転向を考えていたが、昨年9月の「UFC165」では、アレクサンダー・グスタフソンを相手に大苦戦した。4Rにバックスピン・エルボーを叩き込んで流れを変え、判定勝利したが、それまではグスタフソンの打撃に押され、まさに薄氷の勝利だった。(この試合は年間ベスト・バウト1位に選ばれた)
今回の相手グローヴァー・テイシェイラも20連勝中の強豪。彼に勝ってもグスタフソンとの再戦、そしてヘビー級から転向してきたダニエル・コーミエや元PRIDE二階級王者ダン・ヘンダーソンなど、次々と猛者が待ち受けている。
テイシェイラは、ランペイジや元UFCヘビー級王者リコ・ロドリゲスに勝利しているハードパンチャーで、9年間無敗の強豪である。そして群雄割拠のライトヘビー級でジョーンズ以前に唯一長期政権を築いたチャック・リデルの愛弟子である点も脅威だ。はたしてジョーンズは無事テイシェイラを倒し、前回の苦戦から最強王者の名を戻すことはできるのか。激戦区ライトヘビー級を運命の決める一戦だ。
(文:稲垣 收/WOWOW UFC解説者)
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
UFC172を生中継!メインは文句なしの最強王者、ジョン・ジョーンズの7度目の防衛戦。そして五味隆典の復活戦!ティム・ボッシュのミドル級マッチも。
4月27日(日)午前11:00〜[WOWOWライブ]※生中継
ゲスト:菊野克紀(UFCファイター)
・主な対戦カード
<ライトヘビー級タイトルマッチ>
[王者]ジョン・ジョーンズ
[挑戦者]グローヴァー・テイシェイラ
<ライトヘビー級>
フィル・デイビス
アンソニー・ジョンソン
<ミドル級>
ルーク・ロックホールド
ティム・ボッシュ
<ライト級>
五味隆典
アイザック・ヴァリーフラッグ
★生中継!UFC−究極格闘技− UFC173 豪華カード揃い!バラオン&ローラー&水垣&菊野!
メインは、バンタム級王者ヘナン・バラオンにTUFシーズン14出身のTJ・ディラショーが挑むタイトルマッチ! 水垣偉弥と菊野克紀、2人の日本人ファイターも参戦。
5月25日(日)午前11:00〜[WOWOWプライム]※生中継
ゲスト:川尻達也(UFCファイター)
・主な対戦カード
<バンタム級タイトルマッチ>
ヘナン・バラオン
TJ・ディラショー
<ウェルター級>
ロビー・ローラー
ジェイク・エレンバーガー
<バンタム級>
水垣偉弥
フランシスコ・リベラ
<ライト級>
菊野克紀
トニー・ファーガソン
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