国王杯が暗示したレアルとバルサの行く末 スペインサッカー界は新たな時代へ
11年ぶりの公式戦3連敗……暗黒時代の到来か
11年ぶりの公式戦3連敗。無冠の可能性が高くなり、サイクルの終焉を印象づけたバルセロナは「暗黒の時代」に突入してしまうのか 【Getty Images】
当時のバルセロナは、後のジョゼップ・グアルディオラ監督時代の黄金期と比較して「暗黒時代」と呼ばれたが、この1週間ほどのバルセロナはまさに暗たんたる時間を過ごすこととなった。辛うじて3試合連続ノーゴールという“大惨事”は免れたものの、最近2つの敗戦同様、先行きの見えないまま敗れ去った後に残ったのは将来への不安しかない。
『スポルト』(カタルーニャ系スポーツ紙)は翌日の一面で「このサイクルは打ち止め。新たなサイクルが始まった!」と見出しを打ち、“サイクル終焉論”を自ら支持した。そして、試合後の採点で10点満点中5点を上回る評価を与えたのは、ハーフタイムに負傷交代したジョルディ・アルバ(6点)ただ1人だった。シャビ、リオネル・メッシ、セスク・ファブレガスの3人に至っては、3点という極めて厳しい判決を下している。また試合直後に同紙で行われた読者アンケートでは、残された唯一のタイトル、リーガ・エスパニョーラの逆転優勝を支持するファンが1割しか存在しなかった。
ビクトル・バルデス、ジェラール・ピケの離脱が大きなハンデとなっていたのは確かだろう。しかしこの日のバルセロナに必要だったのは、タイトルとともに、傷ついた自尊心を回復するためのきっかけだった。選手入場時、バルセロナのファンが陣取るゴール裏で掲げられた横断幕に書かれていたのは、クラブの応援歌「イムノ」の一節。「勇敢に叫べ、バルサ、バルサ、バールサ!」と印字したファンの想いは、バルセロナの選手としての誇りと気概を示してほしいというものだった。だが、期待されたメッシはこの日も沈黙。効果的なシュートは1つもなく、敗れたチームは傷口をさらに広げることとなった。バルトラと同じくキックオフ1時間前に医療スタッフから出場許可を受けたカルレス・プジョルがピッチに立てていれば、という「たら・れば」も今となっては後の祭りだ。
今、バルサが必要としているのは
はたして、バルセロナにこの危機を乗り越える体力は残されているのか。あるいは、再び「暗黒時代」へと落ちていくのか。現時点で、それを予想できる者は誰1人としていない。ただし、07−08シーズンの失敗を受け、新たにトップチームの監督に就任したのはグアルディオラだった。今、バルセロナが必要としているのは、まさにグアルディオラのような救世主なのかもしれない。