フィテッセはチェルシーのオランダ支店!? 前オーナーの暴露で起こった騒動

中田徹

明るみに出たフィテッセ内の“ズレ”

資金力に乏しいオランダのクラブにとって、ビッグクラブとの提携はひとつのモデルとなりえるが… 【Getty Images】

 長年「ライン川のFCハリウッド」と呼ばれているように、フィテッセではスキャンダルが頻繁に起こる。

 ジョルダニアの今回の暴露も、クラブのゼネラル・ディレクターを務めるヨース・デ・ウィットに対しジョルダニアが「お前の指を詰めるぞ」としゃべり、これを文字通り脅迫と受け取ったデ・ウィットが警察に訴え、ジョルダニアが逮捕されたのが発端。ジョルダニアは7時間拘束されたという。最近までフィテッセのホームゲームや練習場に通っていたジョルダニアだったが、フィテッセは3年間の立ち入り禁止処分を科した。

「本当に指を切るわけないだろう。これはグルジアの表現のひとつ。オランダ人だって相当汚い表現を使っている」とジョルダニアは言い、ファン・レーウウェンも「私がテクニカル・ディレクターの頃は『お前の顔を切り落とす』と言われたが、それを脅しと感じたことはなかった。事実、私の顔はまだついている」と笑う。

モデルケースになりえるはずのビッグクラブとの提携

 フィテッセが優勝しないようチェルシーから操作されているとなると、オランダリーグの健全な競争が保たれなくなる。そのためKNVBはフィテッセに対しクラブの組織の実態について説明を求めている。
 4月2日付けの『デ・テレフラーフ』紙は「3日、チェルシーの関係者がフィテッセと話し合いを持つ。両者の協力関係が終わりになる可能性もある」、「チェルシーのスポークスマンは『フィテッセは独立したクラブ』と語った」と報じた。英国では『ガーディアン』紙も詳細に今回の件を報じている。

「フィテッセがアンジの二の舞になるのでは」と心配する声もある。ロシアのアンジは近年、金満クラブとして勢力を伸ばしていたが、スレイマン・ケリコフオーナーが方針を変え、予算が大幅に低下しチームも弱体化した。

 資金力に乏しいオランダのクラブにとって、ビッグクラブとの提携はひとつのモデルとなり得るが、フィテッセではクラブ・カルチャーが無くなっていくことを嘆く声も絶えない。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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