快挙の7人制日本代表、今後の課題は? リオ五輪へ強化のスピードアップを

加藤康博

「所属選手が五輪に出る」という魅力

坂井克行主将は、コアチーム昇格決定大会の最優秀選手・最優秀フェアプレー賞に選ばれた 【Getty Images】

 7人制の素養のある選手をいかにして代表に選出し、強化を進めるか。今後の課題はそれに尽きる。
 実際のところ、国内のトップリーグや大学は15人制の勝利のために活動をしているだけに、7人制代表へ選手派遣を求めてもなかなか応じてもらえない実情がある。そこを変えていかなければならない。2013年後半から現職にある本城氏は「選手の招集期間や選手をリリースした時の戦力ダウンを補うルール作りについて、各チームと意見交換をしている」と選手を派遣しやすい環境づくりに奔走しているが、同時に7人制代表の価値を高める取り組みも必要だろう。

 幸いなことに五輪出場権はアジアで1枠を与えられており、日本は2013年のアジアシリーズ優勝チーム。このシリーズでは一定の条件を満たした外国人選手が代表チームに入っているため、日本人だけでの戦いになる五輪予選と簡単に比較はできないが、日本が五輪に近い位置にいることは間違いない。その代表に選手を送り込めれば所属企業のメリットは大きいはず。こうした事実を所属チームに周知していくことも重要だ。

7人制専門の指導者を招くことはできるか?

 強化の面でも取り組むべきことはある。15人制代表はエディー・ジョーンズヘッドコーチの指導のもと、急速に力を伸ばしている。7人制でも海外のトップクラスのコーチングを導入したい。実際、7人制の優れた指導者は世界でも数が少なく、コアチーム上位間で移動する例も多い。昨年まで南アフリカを指揮していたポール・トレウはケニアに。そしてイングランドを率いていたベン・ライアンは今季、フィジーに移った。こうした事例からも世界的に7人制が15人制とは異なる競技と認知され、その専門家が各地で求められている事が分かる。

 日本でも1月からストレングス&コンディショニングコーディネーターとしてディーン・ベントン氏が加わり、スピードと運動量の重点強化が始まった。肩書はどんな形であれ、スキルや戦術面でも7人制を知り尽くした人材を招くことが求められるだろう。

 世界の強豪が7人制専属で選手と契約し、専門的なコーチングを進めながら五輪を狙っている。それに太刀打ちするには適性のある選手を正しいコーチングで伸ばし、実戦経験を積み上げていくしかない。来季のワールドシリーズ参戦というチャンスをつかんだ今、日本も国内の環境整備と体制を充実させ、強化のスピードをさらに加速させていくことを期待したい。

<了>

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著者プロフィール

スポーツライター。「スポーツの周辺にある物事や人」までを執筆対象としている。コピーライターとして広告作成やブランディングも手がける。著書に『消えたダービーマッチ』(コスミック出版)

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