異国で女王交代―ジェンティル対抗評価=奥野庸介のドバイミーティング展望

JRA-VAN

日本馬3頭、V圏内だ

心身ともに充実一途のジャスタウェイ、突き抜ける可能性も十分だ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

[ドバイデューティフリー]

 出走予定だったG1ドバイWCから急遽、こちらに矛先を向けてきたザフューグ(牝5、父ダンシリ)が日本馬トリオの前に立ちはだかる。昨年は牡馬に混じってG1愛チャンピオンS(芝10ハロン)に優勝。本命に推されたアルカジーム(2着)やG1愛ダービー馬トレーディングレザー(3着)をねじ伏せた。2着したG1香港ヴァーズ以来、約4か月ぶりの実戦だが、英国で十分に乗り込まれており、久々の不安はない。

 G1天皇賞・秋でジェンティルドンナに4馬身差をつけたジャスタウェイ(牡5、父ハーツクライ)が世界に立ち向かう。G2中山記念でも格の違いを見せつけて優勝と心身ともに充実一途。一気に突き抜ける可能性を秘める。06年のG1ドバイシーマクラシックを制した父譲りの末脚と福永騎手の思い切った騎乗が福を呼ぶ。

 G1香港Cは武豊騎手が絶妙のペースを刻んで価値ある2着。国内ではG1未勝利ながらトウケイヘイロー(牡5、父ゴールドヘイロー)のスピードが世界に通用することが明らかになった。G2中山記念敗戦は出遅れがすべて。一人旅が理想だが、行きたい馬がいるようなら2番手から機を窺って直線先頭に立つ。

 母国南アフリカでのデビュー以来、6戦負け知らずのヴェルシンゲトリクス(牡4、父シルヴァノ)は一気に相手強化となるが、それを補って余りある可能性を秘める。M.デコック厩舎はペースメーカー役に僚馬アナエロビオを急遽参戦させるなど、やる気満々。前哨戦のジェベルハッタの勝ちっぷりは文句なし。昨年はサージャーが前哨戦優勝の勢いのまま本番も快勝した。

 皐月賞馬ロゴタイプ(牡4、父ローエングリン)はG2中山記念のひと叩きで確実に調子は上向いている。R.ムーア騎手とのコンビでG1BCフィリー&メアターフを制した欧州馬ダンク(牝5、父ダンシリ)は渋太い末脚の持ち主。L.デットーリ騎手に手替わりするムシャウィッシュ(牡4、父メダーリアドーロ)も争覇圏。

◎ザフューグ
〇ジャスタウェイ
▲トウケイヘイロー
☆ヴェルシンゲトリクス
△ロゴタイプ
△ダンク
△ムシャウィッシュ

 世界でのキャリアに勝るザフューグが一歩リード。日本馬3頭も差は少ない。ペースと展開次第で逆転あり。まとめて負かせばヴェルシンゲトリクス。ダンクとムシャウィッシュはともに鞍上が魅力。

ブライトライン、直線でどこまで差を詰めるか

ブライトラインは直線勝負でどこまで迫れるか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

[ゴドルフィンマイル]

 南アフリカで2シーズン連続して年度代表馬に輝くバラエティークラブ(牡6、父ヴァー)の実績(21戦15勝、2着4回)を素直に評価したい。前走のG3バージナハール(AW1600m)でシュルックの2着に敗れ、連勝は9で途切れたが、スピードはメンバー中最右翼。AW1600m戦は向正面の引き込み線からのスタートで15番枠もさほど気にはならない。単騎逃げに持ち込んでライバルの追撃を封じ込める。

 バラエティークラブと同じ南アフリカ調教馬のソフトフォーリングレイン(牡5、父ナショナルアッセンブリー)は前走AW1200m戦で9着と期待を裏切ったが、本番は得意のマイル戦に戻る。枠順も絶好の5番枠を引き当てた。昨年はデビューから7連勝でこのレースを制したようにコースとの相性も良く、ライバルに接近してプレッシャーをかけたいところ。ワールドCデーでは毎年のように成果を挙げるM.デコック厩舎のエース格で逆転も十分にあり得る。

 前哨戦でバラエティークラブを退けたシュルック(牝4、イルーシヴクオリティ)の底力も侮れない。昨年のG3UAEオークスなど3つの重賞勝ちはすべてメイダンのAWが舞台。コースを熟知するデソウサ騎手だけに仕掛けのポイントは誤らないはず。接戦になれば2kg減がものを言う。

 2歳時に米国西海岸に遠征してG1BCジュベナイルフィリーズターフ制覇、3歳時はG1仏1000ギニー優勝と芝の1マイルで実力を発揮する欧州牝馬フロティラ(牝4、父ミゼンマスト)は初のタペタコースが鍵を握る。G1フェブラリーS5着で見せ場をつくったブライトラインは有力馬を前に見て、直線でどこまで差を詰めるか。

◎バラエティークラブ
〇ソフトフォーリングレイン
▲シュルック
△フロティラ
△ブライトライン

 バラエティークラブに展開の利。ソフトフォーリングレインは積極策で勝機を掴む。ペース次第でシュルックが浮上し、三つ巴の様相。欧州馬フロティラとブライトラインは初コースが鍵。

(文:奥野庸介)

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