田中将のストレート、ダル3年目の再挑戦 2大エースの2014 吉井理人氏が分析
メッツなどで活躍した吉井理人氏が、日本の2大エース、田中将大とダルビッシュ有の今シーズンを分析する 【写真は共同】
スポーツナビでは、千葉ロッテ、福岡ソフトバンク、オリックスの主催ゲーム全試合を完全生中継するFOX SPORTS「BASEBALL CENTER」のメーンアナリストを務める吉井理人氏にインタビュー。メジャー随一の名門チームでの1年目、マー君は果たしてどこまで活躍できるのか。現役時代はニューヨーク・メッツで1シーズン12勝(99年)を挙げるなど日米で幅広く活躍した吉井氏に、その可能性を聞いた。
そして、忘れてはならないのがメジャー3年目のダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)。シーズン前から早くもサイ・ヤング賞有力候補として名前が挙がるかつての教え子が、さらなる進化を遂げようとしている。それはメジャー1年目で“失敗”したチャレンジだという。吉井氏が語るダルビッシュ3年目の再チャレンジの中身とは?
使用球、マウンドの違いは「だから何?」
使用球、マウンドの違いについて質問したが、吉井氏は「選手は『だから、何?』とうんざりなはずです」と笑う 【スポーツナビ】
はい。もう何も言うことはないですね。順調だと思います。
――ここで聞くのも恐縮してしまうのですが、例えば使用する球の質の違いとか、マウンドの硬さだとか、そういった日本と米国の環境面の違いも問題はなさそうでしょうか?
問題ないですね。もちろん環境が変わるので、はた目から見て問題がなさそうでも、本人たちは絶対に違和感を感じているはずなんです。だけど、日本じゃないから、もうしょうがないですよね。この点はマスコミの人がよく質問しますが、本当に選手からしたら『だから、何?』って感じなんですよね。マー君はかなりこの質問に対してうんざりなはずです(笑)。僕らのときはそんなこと聞かれなかったですもん。
――え、そうなんですか?
こんなこと聞かれるようになったのは最近でしょうね。WBCに出て、WBCのボールが滑るとか、そういうことを言い出して、日本を中心にして考え出したから、そういう話題が出始めたんだと思いますね。僕らのときはボールが滑るとか、マウンドが高い、もしくは硬いとかは当たり前だと思って米国へ渡ってわけですから。その中で投げたくて勝負しないとアカンから、気にしている方がおかしいですよね。
問題は“デッドアーム”をいかに乗り切るか
そうなんですよね。現にマー君もダルビッシュもみんな適応しているので、そこは問題ないです。問題となるのは、やっぱり登板間隔が詰まることですよね。そこが一番大きいと思いますよ。全然違うことですから。
――今の日本のプロ野球ですと、だいたい1週間に1度の登板というローテーションだと思うんですが、メジャーだときっちり中4日、5日のローテーションで回しますし、状況次第では5番手の投手を飛ばしてしまうときもあります。
チームのエースだとそういうこともありますね。シーズンの序盤だと順番に回ってきますが、後半に入ると5番手投手が飛ばされることもあります。
――その点で言うと、先発ピッチャーにとって一番きつくなってくるのは、やはりオールスター前後になるのでしょうか?
オールスター前ですね。米国では“デッドアーム”と言うのですが、腕が死んだように重くなる時期があるんです。これは米国の選手でもあるんですよ。だから中4日に慣れていない日本人投手がそうなるのは当たり前なんですよね。そうですね、やっぱりオールスター前あたりかな、そういう症状がでるのは。それは必ず来ると思うのですけど、そういうときにどれだけしっかりケアして、ダメージをどれだけ抑えられるかが勝負になると思います。でも、ルーキーイヤーは試行錯誤だと思うので、失敗するときもあると思いますよ。
――ただ、同じヤンキースには頼りになる先輩・黒田投手がいますが。
はい、黒田がいるんですけど、やっぱり個人、個人で違うんですよね。
――黒田投手が「こうすればいいよ」とアドバイスしても、それが田中投手の体に合うかどうか、ということですね。
そうなんですよ。だから、そこは自分で見つけるしかないので、オープン戦も日本と違って試合数をたくさん投げさせてくれるから、その間に自分で見つけていくしかないですよね。