首位攻防敗戦にも川島「プラスの経験」 スタンダールはシーズン終盤に痛恨の連敗
今季最高の“トッパー”でスタンダールは惜敗
「クラブ・ブルージュ対スタンダールは今季初めての“トッパー”になる」――。
“トッパー”とは上位チームやビッグクラブ同士による重要な試合の事だが、今季のベルギーリーグは、スタンダールが開幕から独走していたため、少し褪せた色合いのトッパーが続いていた。しかし、前節のヘント戦でスタンダールが敗れたため、クラブ・ブルージュとの勝ち点差が7となったことで、同国の名門チーム同士による直接対決が戦前から注目を集めていた。
「この直接対決でクラブ・ブルージュが勝てば勝ち点差が4となり、さらにプレーオフではレギュラーシーズンの勝ち点が半分になるから実質スタンダールとの差は2になって、優勝争いはまったく行方が分からないものになる」とファンの間で盛り上がりを見せていた。
午後2時半、冬の澄んだ青空のもとキックオフの笛が鳴る。
カウンターサッカーのスタンダールと、ポゼッションサッカーのクラブ・ブルージュはお互いに意地をぶつけ合い、時には小競り合いを起こしながらも情熱過多とはなりすぎず、両チームの良さ、そして欠点すらも堪能できたトッパーだった。
川島は好守を見せるも1失点を防げず
負けた悔しさを整理しながら、川島はこのトッパーをこう振り返った。
「相手もプレッシャーを掛けてきたり、質の高いプレーをしたし、こっちも頑張って球際に強くいったり、ミスをしても取り返したりと、本当に1位と2位のビッグゲームだったと思う。負けたけどフィフティー・フィフティーのゲームだった」
前節のヘント戦では相手MFのファーサイドへの走り込みを視界から外してしまい、ヘディングシュートによるゴールを決められてしまった川島だったが、クラブ・ブルージュ戦では至近距離からのシュートに対する強さを発揮した。残念だったのは、そのパフォーマンスがチームの結果に結びつかなかった事。しかし、「こういう質の高いゲームを自分自身も欲しているし、ギリギリの中での判断とかはゲームの中でしか経験できない。こういう大きな試合というのは自分にとってプラスの経験になる。今後は、常に結果に結びつくパフォーマンスをしていきたい」と敗戦にも前を向いた。
若いチームの動揺を鎮めるのも川島の役割
スタンダールのチームとしての魅力は、20歳のツートップコンビ、FWミシ・バチュアイーとFWイモー・エゼキエルのゴールへの迫力や、21歳の左MFポール・ジョゼ・ムポクの捕まえどころのないドリブルといった若い力。しかし、今回の大一番では肝心なところで、彼らの判断ミスが目立った。
「ちょっとみんな焦りすぎている。頑張って(守備に)戻っている分、前に行く力がなくなっている部分はあると思う」と若きタレントたちの様子を川島は分析する。
他のポジションにも20歳センターバック、ディノ・アルスラナギッチ、MFには19歳のジュリアン・デ・サルと、20歳前後の選手が多いだけに連敗の影響が心配される。しかし川島は、「僕もいるし、イゴール(デ・カマルゴ、30歳)もいる。若い選手だけじゃない。チームとしてまとまって、こういう時期を乗り越えていかないと先はない。ここまで来て、目の前にあるチャンスを逃すわけにはいかない。優勝するために、もう一回、気持ちを切り替えて次の試合に臨みたい」と意気込んだ。
3月20日に31歳の誕生日を迎える川島は、守護神としてゴールマウスを守るだけでなく、チームの動揺を最小限に鎮める役割をも果たそうとしている。
<了>
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