「少年時代の夢をかなえたい!」 中年ライターのバック転体験記

芸部歩人

【スポーツナビ】

 少年時代、思えばジャッキー・チェンや戦隊ヒーローの華麗な身のこなしに憧れていた。昨年末、ネット閲覧で無駄な時間を過ごしていると、どういう訳か突然「バック転クラス」の文字が飛び込んできた。

「俺の人生で一度くらいバク転(=バック転)ができたっていいだろう」

 まだ間に合うのか? 40代を目前に少年時代の思いが再燃。夢よ再び――と挑んだ、中年ライターのバック転体験記。

大人が真剣に遊べる場所

こちらがつばさ基地、バック転のほかアクションやダンスなどいろいろなジャンルの運動が学べます 【スポーツナビ】

 ということで、お邪魔したのはアクション女優でスタントマン、インストラクターとして活躍する秋本つばさ先生が代表を務める板橋区の「アクション&アクロバットスタジオ つばさ基地」。小竹向原駅から歩いて5分ほどのスタジオを訪ねると、昔学校で親しんだマットや跳び箱、エバーマットといった用具が置かれ、天井の高い広々とした空間が広がる。

いざ、夢のバック転に挑戦! 【Getty Images】

「小さかったころの夢でバック転ができるようになりたいっていうのは、特に男性は結構多いと思うんです。それで30歳を過ぎて経済的に余裕ができて、時間も作れるようになってきた。子どもの時にやりたかったけどできなくて、今ならまだ体が動くから、何とかして夢を叶えたい――そういう方が意外と多いです」とつばさ先生。

 体操やアクロバットの教室というと子どもが対象のイメージだが、つばさ基地の会員は「子どもが30%、中高生でチアリーディングの子が20%ぐらい、あとの半分が大人です」とのこと。思いのほか、大人の比率が高い。つばさ先生もスタジオを「大人が真剣に遊べる場所」と位置づけている。

「サラリーマンやOLさんは休まないんです。年齢がちょっと高くて、でもじっくり腰を据えてやろうっていう人たちの方が続くし、そういう30代〜40代のじっくりやった方たちが、ものにしていくケースが多いです」

身体能力チェックを受けるものの……

まったく後ろに反れないことが判明。つばさ先生「これはちょっと難しいかも……」 【スポーツナビ】

 中年バック転志望にはなかなか励まされる話である。そんな同年代の方たちに続くべく、さっそくバック転指導を受ける。まずはバック転ができる身体能力があるか否か、A:柔軟性、B:筋力、C:運動神経系の3項目にわたってチェックする。

A 柔軟性:前屈、背屈、左右開脚、前後開脚、肩関節の拳上
B 筋力:腕立て伏せ、腹筋と背筋、スクワットジャンプ
C 運動神経系:つま先のポイント&フレックス、ステップ

 バック転をするにあたり、重要となる背屈と背筋をチェックした際、全く後ろに反れないわが姿を見て、さすがのつばさ先生も「これはちょっと難しいかも……」と表情が曇った。

 しかしそこは40代目前、予定通りに事が運ばないのはすでに実人生で慣れっこなので、「バック転達成」から「バック転体験」に目標をすげ替え、指導を続けてもらう。

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著者プロフィール

げいぶ・あると。体験系取材を中心に活動し、「2代目スポーツ冒険家」を自称する40代目前ライター。名前は映画『クリフハンガー』の主人公ゲイブ・ウォーカーから

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