「少年時代の夢をかなえたい!」 中年ライターのバック転体験記

芸部歩人

いよいよバック転体験へ

恐怖を克服するため、ひたすら後ろにジャンプ! 【スポーツナビ】

 続いてブリッジ、逆立ちといったバック転に欠かせない基本動作を正しい形に直してもらい、いよいよバック転体験へ。

 1:両手を上に振り上げる→2:両手を下げながらしゃがみ込む→3:両手を振り上げ一気に跳び上がる、というバック転へ入る動きとなる「123ジャンプ」を教わり、つばさ先生のほか、野獣仙田先生にも加わって頂き、宇宙遊泳=完全補助でのバック転を体験。なかなかおっかないが、つばさ先生と仙田先生が絶対の安全を確保してくれるので心配無用。補助がなければ1人バックドロップでマットに突き刺さってしまうが、バンジージャンプのように安全が保障された中でのおっかなさである。

 この完全補助の至れり尽くせり状態でバック転を体験した後は、エバーマットやバランスボールを使って基本姿勢と基本動作の反復練習。つばさ基地にはバック転する姿を録画、すぐにリプレーして確認できる装置が備わっているが、映像でわが身を確認すると悲しいぐらい腰が引けており、跳んでいるつもりが全く後方に跳べていない。「跳んだ気」になっているだけで、練習した姿勢や動作がまるで再現できていなかった。

(左)逆立ちもバック転習得にあたっては重要な要素。つばさ先生が美しい逆立ちのお手本を披露/(右)筆者の逆立ちもなかなかのもの。バック転に一歩近づいた!? 【スポーツナビ】

「一般の方の場合は半年から1年ぐらいみていただいて、1年でもできない方が少なくありません。体重がある方はまず痩せるところ、体作りから入ってもらって、前転とか後転のマット運動をたくさんして感覚を養っていただきます。そうした上で、最終的には勇気。この勇気が80%ぐらいを占めていて、勇気がないとバック転は回れません。補助まではいいんですけど、いざ1人となるとできない方が多いです」

 どうやら自分の場合も怖さが足を引っ張り、後ろへ跳ぶ動きができていないようだ。

バック転は1日にしてならず

今回指導していただいた秋本つばさ先生(左)、野獣仙田先生 【スポーツナビ】

 この日クラスへ一緒に参加してくれたのは3年ほど通っているという横山英一さん(48歳)。補助も最小限でバック転を綺麗に決めるが、横山さん本人は次のように言う。

「やっぱり格闘技や武道と同じで“技”だと思うんです。1つの技を完成させるには、技術もあるしメンタルもあるし、体も作らないとでき上がらない。1人で跳ぶと形が崩れるんです」

 ほぼ完成しているように見えた横山さんのバック転だが、補助を借りずに独りで回る、最終関門を越えるのはやはり容易ではないようだ。

「みんな簡単に考えすぎなんですよね。アイドルの子が3週間後にコンサートがあって、『それまでにバック転を』って頼まれることもあるんですが、それは無理ですって最初に断っちゃいます。けがをさせてしまいますし、やっぱり1年は準備期間が必要です」(つばさ先生)

 そう、バック転は1日にしてならず。“もしかしたら今日1日でできるようになっちゃうかも”なんて夢見がちな中年だったわが身を恥じつつ帰り、それでもいつかバック転できる日を夢見て、まずは倒立とブリッジの自主練から始めたのでした。バック転への道険し。

この日行ったバック転チェックメニュー

<チェック1 身体能力>
A:柔軟性(前屈、背屈、左右開脚、前後開脚、肩関節拳上)
B:筋力(腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットジャンプ)
C:運動神経系(つま先のポイント&フレックス、ステップ)

<チェック2 バック転に欠かせない基本動作>
A:ブリッジ
B:逆立ち

<チェック3 バック転体験>
A:123ジャンプ
B:宇宙遊泳体験
C:身体を締める
D:着地前の安全確保

<チェック4 バック転練習>
A:完全補助(抱っこ補助)
B:3点補助(背腰、腿、腹)
C:1点支え補助(背腰のみ)

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著者プロフィール

げいぶ・あると。体験系取材を中心に活動し、「2代目スポーツ冒険家」を自称する40代目前ライター。名前は映画『クリフハンガー』の主人公ゲイブ・ウォーカーから

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