アイスダンスの魅力を紹介 “感じて”楽しむカップルの世界観

長谷川仁美

大切なのは「感じる」こと

アイスダンスの世界へようこそ! フィギュア専門ライターがその魅力を紹介 【写真は共同】

 フィギュアスケートが人気になるにつれて、最近は、アイスダンスを知る人も増えてきた。

「男女が1カップルになって滑るペアとアイスダンスだけど、ジャンプがあるのがペアで、ないのがアイスダンス」、「ジャンプがない分、エッジワークが大切らしい」、「コスチュームが、シングルやペアよりもきれいみたい」

 そう、どれも正解だ。これらは、アイスダンスというものを間違いなく表している。
けれどその裏には、「ジャンプがないからつまらない」、「エッジワークといわれても、よく分からない」という思いが隠れているのも事実だろう。

「アイスダンス」と聞いて何を思い浮かべるだろう。すべての概念を取り払ってただ想像してみる……なんだか、冷たいところでフォーマルにダンスしている感じ? 冷酷な踊り? そう、そんな感じでいいのだ。なぜなら、アイスダンス観戦でもっとも大切なのは、「感じる」ことだから。2人がこの数分間でどんな世界を作り、見せようとしているのか、どんな思いで滑っているのかを感じる。そんな風に2人に寄り添って見てみると、アイスダンスは急に身近になる。演技の途中、2人が視線を交し合ったり微笑み合ったり……そういう一瞬のシーンからでさえ、いろいろ想像することができる。想像を媒介として、見ている自分と滑っているカップルの3人だけでなにかを共有しているように感じてしまうこと……これが、アイスダンス観戦の醍醐味(だいごみ)だろう。

「ツイズルは、アイスダンスの4回転」

 そうやってアイスダンスの魅力に触れてしまったあと、もっと知りたくなったら、以下のような知識が「プログラムを感じる」部分の大きな助けになるだろう。

 たとえば、アイスダンスには、ショートダンス(約2分50秒)とフリーダンス(約4分)があって、それぞれに、決められた数のリフト(通常は、男性が女性を持ち上げるもの)やスピン、ステップなどがあり、どのカップルもそのルールを守っている。

 もっと詳しく見る場合は、ツイズルを1つの目安にするのもいい。ツイズルとは、2人が片足で高速で、ぐるぐる回りながら同じ方向に同じ速度で進むものだ。スコット・モイヤー(カナダ。バンクーバー五輪アイスダンス金メダリスト)が「ツイズルはアイスダンスの4回転」と言ったくらい、ツイズルは難しいもの。「よし、いまからツイズル行くよ!」とハイライトのようにプログラムに組み込むカップルもいれば、何気なく入れて何事もなかったかのようにプログラムを進めていく上位カップルもいる。プログラムの中での、ツイズルの入れ方と出来も重要だ。

全カップルが行う「パターンダンス」

 また、ショートダンスの中にある「パターンダンス」を知ると、カップルごとの特徴や技術力の差が如実に分かるようになる。パターンダンスは、簡単に言うと、すべてのカップルが同じ動きをするステップ部分のことだ。リンク1周を、細かく決められた足の運びの規定どおりに進んでいく(半分に分けて、半周と半周にするのも可)。今シーズンの課題は「フィンステップ」という、2人が両手を組んで跳ねながら進んだり、ジャッジ側から見て右斜め前の奥のほうの場所で止まって3回ポンポンポンと飛び上ったりするもの。

 プログラムのどこに組み込むのかはそれぞれだが、何組か見ていると、「あ、これ、パターンダンスだな」と気付くようになり、その動きのなめらかさなどに違いが見えてくる。金メダル候補のメリル・デービス、チャーリー・ホワイト(米国、バンクーバー五輪銀メダリスト)の今シーズンのショートダンス「マイ・フェア・レディ」のパターンダンスは、プログラムの半分が過ぎたころ、音楽が変わるところからスタートして1周進んでいくので分かりやすい。この2人が見せた今シーズンのグランプリファイナルの演技などを見ておくのもいいだろう。余談だが、このプログラムは、ディズニー映画のような、おとぎ話のような、この2人にしか出せない味わいできらめいていて、あっというまにプログラムが終わってしまう。

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著者プロフィール

静岡市生まれ。大学卒業後、NHKディレクター、編集プロダクションのコピーライターを経て、ライターに。2002年からフィギュアスケートの取材を始める。フィギュアスケート観戦は、伊藤みどりさんのフリーの演技に感激した1992年アルベールビル五輪から。男女シングルだけでなくペアやアイスダンスも国内外選手問わず広く取材。国内の小さな大会観戦もかなり好き。自分でもスケートを、と何度かトライしては挫折を繰り返している。『フィギュアスケートLife』などに寄稿。

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