“豪腕”大和と“怪物”野杁が語る大一番=2.16WBC王座戦直前インタビュー
大和「ムエタイルールが僕の真骨頂」
WBC世界王者を狙う“豪腕”大和哲也にとって野杁正明は落とせない試合となる 【(C)NJKF】
以下は大和哲也のインタビュー
――大和選手にとってさまざまなことがあった2013年だったと思いますが、1年を振り返っていかがでしょうか?
昨年は世界王座を落としちゃって、でもそこから前(WBC)インターナショナル王者のケビン・ロスに勝ったので、途中で悔しい思いをしましたけど、その後で強豪に勝てたので次のステップに繋がる1年だったかなと思います。自信にもなったというか。
――そのケビン・ロス戦はいかがでしたか?
もうちょっといい形で勝ちたかったとは思うのですが、結果的には勝てたので良かったです。会場的にも僕が勝ちっていうことに不満はなさそうだったので、それも良かったです。だいぶアウェーだったんですけど、いい経験になりました。そういうアウェーの中でも全部持ってこれたので。
――かなりヒジを打ち込んで、5カ所ものカットを与えました。
そうですね、合わすタイミングがいっぱいあったので。
――これは以前から言われていますが、やはり制限の少ないムエタイルールの方が大和選手の力がより生きるのでしょうか?
やっぱりムエタイルールが僕の真骨頂だなと思います。あと、ヒジがあることによって緊張感のある距離の探り合いっていうのが僕はすごく好きなんです。
――たしかにヒジありならではのスリリングさというのはありますよね。
ヒジもいろいろな使い方があるし、タイミングであったり、そういった意味で奥が深いですよね。たとえばボクシングは攻撃がパンチだけになるので、センスや才能がすごく関わってくると思うんですけど、ムエタイはいろいろな勝ち方ができる競技で、そういった点ですごく面白いと思います。
――強豪ケビン・ロスを下したことで、世界戦の敗北から再浮上した印象です。
インター王座は向こう(ケビン・ロス)がケガしてできなくて、違う選手と決定戦をやって取ったタイトルだったので、今回ケビン・ロスを下したことで「これで俺がインターの王者だぞ」っていうのをアピールできたかと思います。そういう意味では良かったです。
野杁正明はパンチも蹴りもできるバランスのいい選手
伝説(ゲンサック・ソープランジット)、神様(センチャイ・ソー・キングスター)、天才(ジョムトーン・チューワッタナ)、英雄(ケビン・ロス)とはやりましたが、怪物とは初めてです(笑)。でも自分の中で正明が来るっていうのは全く考えていなかったので、試合の話が来た時は「そうなのか」っていう感じでした。向こうもトップ選手ですし、ゆくゆくはどこかで交わることもあるだろうと思っていましたけど、それがこのタイミングとは全く思っていませんでした。
――同じ名古屋ですし、きっと交流もあるのではないですか?
会場で会っても挨拶してくれますし、僕も声を掛けたりして全然話をしています。彼は好青年で、いい子ですしね。
――野杁選手を「選手」として見ていかがでしょうか?
すごく強いと思うし、選手として僕は本当に認めています。あんな若いのに戦績もしっかり残しているし、すごくいいファイターだなと思っています。
――ですが、ムエタイルールやヒジの使い方という面では大和選手に分があるのではないですか?
分があるといえばたしかにそうだと思います。でも僕はヒジにこだわってる訳じゃないし、今回も特にヒジを練習してるかっていうとそういう訳でもないです。僕の中でこだわりはありません。ただ入ってきて当たるからヒジを振るだけであって、ケビン・ロスとの試合でもそうでした。
――では、試合の中で当たる攻撃を当てるだけというか。
そうですね。正明はパンチも蹴りもできるすごくバランスのいい選手で、でも決まったからにはそういう強い選手と試合ができるというのはうれしいことなのかなと思っています。試合が決まったからには向こうも倒しに来るでしょうし、僕も全力でしっかりやろうと思っています。
――それでは最後に試合へ向けての意気込みと今年1年の抱負を改めてお願いします。
今年の第1戦で野杁正明っていうすごく強くて若い選手と戦うことになりましたが、僕はやっぱりWBCの世界を目指しているので、落とせない試合です。この試合が決まってから、本当に自分もステップアップできている気がするので、そういう意味では僕としてもゆくゆく「この試合があって良かった」と言えるような結果と内容を残したいと思います。今年はまた海外の話の話もあるので、ベガスでもロスでもどこでも行って世界に名を売っていきたいです。そして世界王座にもう1度挑戦して、リベンジして世界のベルトを取りたいと思います。
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