石川・福原の後継者候補3人が見せた成長=全日本卓球選手権・総括
日本トップと争えるレベルに達した中学2年・加藤
ジュニア女子で優勝した加藤(右)と準優勝の平野。一般の部でも善戦を見せ、日本代表争いに加われる力があることを証明した 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
加藤は小学6年の時、福原以来となる全日本選手権ベスト32となってすでに注目されていたが、昨年、今年とベスト16に進出し、今回の6回戦でその福原と対戦した。ラリーの合間に力を抜いた柔らかいボールを挟んだり、バックハンドからの独特のサーブレシーブで、あっと言わせるコースに返球したり、加藤は変幻自在の卓球を展開。福原相手に第1、第2ゲームを連取してみせた。
第3ゲーム以降は、加藤の球質にも慣れた福原が挽回、4ゲームを連取されて敗れたものの、8−11、8−11、7−11、10−12と、一方的にやられたゲームはなかった。
「試合の後半は、自分のドライブが(福原に)慣れられてしまった。パワー不足ですかね」と語り、緩急をつけたラリースタイルについて聞くと「ボールを見極めて、対応して打てるのが、自分の特長です」と、冷静に自己分析した。
加藤は昨年12月に行われた世界選手権代表選考会でも平野早に勝つなど、確実にシニアで日本のトップを争えるレベルになってきている。
来年は中学1年・平野美にも世界行きの可能性
まず準々決勝で、一般の部で準優勝した森に3−1で勝利すると、続く準決勝でも、インターハイ王者の阿部愛莉(四天王寺高)を3−2で撃破した。
平野美は、主にラリーに持ち込んで相手のミスを誘うスタイルを取っている。身長が155センチまで伸びたこともあって、体格的なハンデはだいぶなくなってきた。
「日本での大会は久しぶりだったので、緊張しました。海外の大会(世界ジュニア選手権など)に、たくさん出させてもらっていましたから」
加藤と戦ったジュニアの決勝では、厳しいコースを狙い合う、レベルの高いラリーを再三にわたって展開。会場内のFM放送で解説していた松下浩二氏(アテネ五輪など五輪出場4回)は「中学1年生と2年生の対戦内容じゃない」と、驚きの声を上げていた。決勝は1−3で敗れたものの、11−8、8−11、12−14、8−11と、よく戦った内容だった。
森、加藤、平野美。2年後のリオデジャネイロ五輪に向けて、石川、福原に次ぐ、3人目の椅子を狙う候補に、この3人が名乗りを上げたことは間違いない。石川は中学2年で全日本選手権ベスト4に入り、その年の世界選手権代表になっている。福原も中学3年で初めて世界選手権代表に選ばれ、その大会の日本代表で最高のベスト8に進出した。中学1年の平野美も含めて、来年には、この3人がそろって世界選手権の代表になってもおかしくない。そう思わせるだけのプレーを展開した、今年の大会だった。
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