ソフトBの若鷹がカリブの島国で見た景色=鷹詞〜たかことば〜
東浜がつかんだ大きな手応え
今季3勝と期待通りの活躍ができなかった東浜は、プエルトリコリーグで大きな手応えをつかんだという 【写真は共同】
「2年目はローテ争いを勝ち抜いて、なんとしても2桁勝利をマークします」
こちらも大きな手応えをつかんだ。12月下旬に帰国した時点での4勝はチームトップ、奪った42三振はプエルトリコリーグでの奪三振王だった。
「三振にこだわった。決め球を習得することができました」
切り札は改良を加えたツーシーム。2本の縫い目に指を置くのではなく、さらに開いて、「落ち幅がフォークに近く、スピードも出る」球種に進化を遂げた。亜細亜大学時代には420奪三振を積み上げて東都大学野球リーグの新記録を更新した右腕。2年目の変身は大いに期待できそうだ。
「『ハードルができた』と喜ぶくらいじゃないと」
ソフトバンクでは10年オフからウインターリーグ派遣を継続しており、大隣をはじめ中村晃(10年オフ、オーストラリア)や柳田悠岐(11年オフ、プエルトリコ)、今宮健太(11年オフ、オーストラリア)らが海外修行を経てチームの主力に成長した実績がある。今季も中南米に加え、台湾でも6名の選手が貴重な経験を積んだ。今オフ、12名もの若鷹が海の向こうで日々鍛錬していた。
だが、今オフに空前の大型補強を行ったソフトバンクにあって、若手が出場機会をつかむのは大変至難である。それでも、王貞治球団会長は「このような世界だからこそ」と強い口調で言う。
「選手は『乗り越えるハードルができたんだ』と逆に喜ぶくらいじゃないとね。チームに必要とされ、ファンに必要とされるよう、結局は自分を高めていかないといけないんだから」
巨大戦力を言い訳にしたり愚痴を言っている暇があるならば、他にやるべきことは幾らでもある。ついつい超大型補強ばかりに目が行きがちな今季のソフトバンクだが、3年ぶりの日本一へのキーマンは「選手育成」の場から現れるかもしれない。
<了>