サムライたちのブンデスリーガ前半戦=日本代表選手のドイツでの評価と課題
新天地マインツでゴールを量産する岡崎
ブンデスリーガ前半戦で好パフォーマンスを見せた岡崎 【Getty Images】
では、日本からやって来た助っ人たちは、どんなシーズン前半戦を送ったのだろうか。今回は「サムライ」と呼ばれる日本代表の選手に焦点を当てて、シーズン前半戦を振り返ってみよう。
岡崎慎司は、シュツットガルトからマインツへと移籍した後、見事に花を咲かせた。ドイツに来て4年目となる27歳は、自身にとってベストのシーズンを過ごしている。ゴールネットを揺らした回数は、すでに過去最多の8度に上っている。シュツットガルトではほとんど攻撃的MFとしての出場しかなかった岡崎を、マインツのトーマス・トゥヘル監督はFWとして起用した。この日本代表選手は、監督の信頼に最高のプレーとゴールで応えた。新天地での初陣から、古巣相手に今季初ゴールを挙げて3−2の勝利に貢献したのだ。岡崎はそこからさらに7ゴールと1アシストを追加している。
第7節、第8節とやや調子を落とした岡崎を、トゥヘルは1試合休ませた。岡崎はこの休みを活用し、復帰したブラウンシュバイク戦では全得点をたたき出して2−0の勝利へと導いた。クリスマス休暇の直前には「チームメートは僕の走るコースを分かっているし、僕も大きな自信を持っています」と『キッカー』誌に語っている。中断期間突入のタイミングは、マインツにとって良いものではなかったかもしれないが、中断前最後のハンブルガーSV戦を終了間際のゴールを含む2得点で3−2の勝利に導くと、岡崎はブンデスリーガ第17節のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
ヘルタ・ベルリンの躍進を支えた細貝
チームメートから「ハッチ」というニックネームで呼ばれる細貝は、今季ここまでリーグ全17試合に先発。そしてルフカイ監督は、昇格したばかりのチームを驚きの6位へと導き、ヨーロッパのカップ戦出場も現実味を帯びている。その成功は、主に4人の懐刀に起因する。GKトーマス・クラフト、DFファビアン・ルステンベルガー、アタッカーのアドリアン・ラモス、そして中央を締める細貝である。彼らこそが「老貴婦人(ヘルタの愛称)」と呼ばれるクラブの成功の秘密なのだ。
ベルリンの地元紙である『デア・ターゲスシュピーゲル』は、今季前半戦の細貝についてこう記した。「この日本人はフットワークと力強いタックル、そして戦術眼を絡め合わせて、ヘルタの新たなスタイルの象徴となった」
このニューカマーとともに、ヘルタは2013年最後の試合で、昨季チャンピオンズリーグ(CL)のファイナリスト、ドルトムントを2−0で下している。この試合でもルフカイお気に入りのMFは、目立たないながらも成功を左右する重要な存在となった。チャンスを作り出すことはほとんどないが、それは常に必要とされる場所にポジションを取っているからである。ここまで欠点と言える部分は一つだけ。ファウルが多いことである。とはいえ、それも本当に大した問題ではない。
ブッフバルトが語る「内田の弱点」とは?
かつて浦和レッズで成功を収めたギド・ブッフバルトは最近、内田についてこう語っている。「内田の弱点はクロスだ。それは認めなければならない。守備面では、相手のスペースを限定するようなポジショニングに欠けている」。時にはアグレッシブさが足りないこともある。この中断期間までに記録したアシストは3つだけで、もっとアシストへの意欲を高めなければ、リーグの平均には届かない。
高いレベルにいるからこそ、ドイツでは「ウッシー(内田の愛称)」に対する批判が高まる。若手が多く、ケガ人に悩まされるチームにおいて、内田は名声を確立した選手の一人である。CLの第2ラウンドへは到達したが、来季の同大会への出場圏内からは外れてしまっている。そんなチームの一員である内田は、パンチに欠けるのだ。「非常に大きな成長のポテンシャルを秘めている」と内田を評するブッフバルトだけに、「シャルケのチーム内競争が足りない」と物足りなさも感じている。このままポジション争いがなければ、おそらくシーズン後半も内田のポテンシャルに変わりはないはずだ。