データで占う箱根駅伝、優勝の行方=V狙うなら“花の2区”より“山の5区”?

寺田辰朗

山を制せば、出雲・全日本未勝利からの箱根Vも

前回は出雲、全日本と未勝利だった日本体育大が優勝。5区区間賞の服部(写真)の快走が勝利を手繰り寄せた 【写真:北村大樹/アフロスポーツ】

 出雲・全日本とも勝てなかった大学が箱根で優勝したケースは過去8回。96年の中大、99年の順天堂大、04年の駒澤大、06年の亜細亜大、07年の順天堂大、09年の東洋大、10年の東洋大、そして13年の日本体育大で、おおよそ3年に1回という頻度だ。今季の駅伝2大会で連続2位の東洋大は、実績十分ということになる。

 お気付きの方も多いと思うが、07年の順天堂大は今井正人、東洋大の2回は柏原竜二、そして前回の日本体育大は服部と、山上りの5区で区間賞を取ったケースが半数を占める。箱根には他の駅伝にない“山”があり、そこで後続を大きく引き離したことが最大の勝因となった。

 前回は5区だけで日本体育大に4分28秒も遅れをとった東洋大だが、今回は設楽啓太・悠太兄弟(4年)ら、エース級の投入も考えているという。東洋大が2連勝時のパターンを踏襲する可能性は十分ある。
 ただ、それは日本体育大にも当てはまる。前述のように、今季は出雲3位、全日本8位だが、箱根は服部(または山中)に5区の快走が期待できる。日本体育大は前回も、2大会未勝利からの優勝だった。

 もちろん、5区区間賞でなく優勝したケースも8回中4回を占める。“脱・柏原”路線も模索してきた東洋大が、1万メートル平均28分35秒のスピードで平地区間を突っ走る可能性もないわけではない。
 ちなみに5区で区間賞を取った大学が優勝したケースは過去に33回。これも約3年に1回のペースで、89年以降に時期を区切っても8校が該当し、割合的には同じである。しかし5区の距離が伸びた06年以降は、8回中5回が5区区間賞チームが優勝した。

 ちなみに、エース区間と言われている2区で区間賞を出したチームの優勝は、24回と少ない。さらに99年の順天堂大・三代直樹を最後に、優勝チームの2区区間賞は出ていない。2区の役割は区間賞を取ることではなく、上位の流れにチームを乗せることなのだろう。

<了>

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著者プロフィール

陸上競技専門のフリーライター。地道な資料整理など、泥臭い仕事がバックボーンだという。座右の銘は「この一球は絶対無二の一球なり」。敬愛する人物は三谷幸喜。

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