来季の巨人・正二塁手は誰だ!?=“クセ者”元木大介が徹底解剖!!

ベースボール・タイムズ

激しさを増す巨人の正二塁手争い、2014年レギュラーの座をつかむのは?(写真は脇谷) 【写真は共同】

 2013年シーズン、巨人・原辰徳監督が手にしたスターティングメンバー表の『二塁手』の欄には、脇谷亮太、寺内崇幸、中井大介、藤村大介、立岡宗一郎、さらに高口隆行、ロペスと延べ7選手、季節が変わるごとに異なる選手の名が記された。しかし、いずれも定位置を確保したとは言い難い。

 そして来季、この“セカンドサバイバル”に片岡治大(前埼玉西武)、井端弘和(前中日)の実力者2人がさらに加わることになる。過去には千葉茂、篠塚和典(92年までの登録名「利夫」)、仁志敏久らの名手が務めた巨人軍の正二塁手。原ジャイアンツ長年のウィークポイントに、救世主は現れるのか――。1991年から2005年まで巨人軍でプレーし、長嶋茂雄終身名誉監督から“クセ者”と評された元木大介氏に聞いた。

「油断したらすぐに奪われる。それがジャイアンツ」

高卒6年目の中井は今季、バッティングで才能をアピールした 【写真は共同】

――日本シリーズでは惜しくも敗れましたが、原巨人は今季も独走でリーグ優勝を果たしました。その中で、最後は寺内が活躍はしましたが、シーズンを通してみると“セカンド問題”を今年も解消できなかったという印象が残りますが?

 そうだね。今年もできなかったね。以前は脇谷がずっとチャンスをもらっていたけど、それを生かせずに一本立ちできなかった。今季も開幕戦で活躍したけど長続きしなかった。怪我があったとは言え、脇谷がもっとしっかりしていれば他の球団から誰かを獲ってくる必要もなかったと思うよ。寺内は頑張っているけど、現状ではまだ力が足りないかな。CS(クライマックスシリーズ)、日本シリーズとホームランを打って印象的な活躍をしたけれど、まだ出会い頭のホームランという印象だし、もっとしぶとい打者にならないといけない。相手から嫌だなと思われる打者。打率もそうだけど、そういうしぶとさ、油断したら打たれるというような雰囲気をもっと出せるようになってほしい。守備は良い訳だからね。

――怪我で離脱しましたが、高卒6年目の中井大介らは大きな可能性を感じさせたと思いますが?

 バッティングではすごく良いものを見せたね。自分自身の中にも、原監督の中にも、通用する、使えるという感覚はつかんだと思う。ただ、怪我でかわいそうな面はあったけれど結果的にチャンスを逃したということは事実だし、来季は外野でという話もあるみたいだからね。それでもやっぱり魅力はあるよ。攻撃面だけのことを考えたら、中井が二塁手として入った方が打線に厚みが出ることは間違いないね。

――藤村大介は2011年に盗塁王に輝いた実績もある選手ですが、現状の彼をどう見ますか?

 守備でも打撃でも、今よりもっとレベルアップしないといけない。盗塁王を獲ったのは素晴らしいことだけど、そこからさらに前進しないといけなかった。心のどこかに「来年は俺だろう」という油断みたいなものがあったかもしれない。それはチーム全体に言えること。今の巨人でレギュラーと言えるのは(阿部)慎之助ぐらい。村田(修一)もかな。坂本(勇人)だって今季のようなスランプが続いたらどうなるか分からない。油断したらすぐに奪われる。それがジャイアンツというチームだからね。

新加入の片岡&井端がチームにもたらすものは?

FAで新加入した前西武の片岡(右)が現在レギュラーに最も近い位置にいる 【写真は共同】

――このセカンド争いに、来季は片岡治大、井端弘和という実績のある選手が加わることになりますが?

 当然、片岡がレギュラーの第一候補になるだろうね。ただ、彼が巨人でどこまでできるかというのは未知数。西武時代も故障が多くて、今季もフルシーズン戦えてない。新しいチームで最初から何の問題もなく活躍するのは簡単なことではないだろうし、まだまだレギュラー当確とは言えない。片岡が定着できないとなると、また今季のようにセカンドが入れ替わり立ち替わりという風になるかもしれないね。

――活躍して当たり前というFA選手としての重圧とも戦うことになりますが?

 西武にいた時よりも間違いなく注目度は高くなるし、その分、活躍できなかった時には厳しい目を向けられる。西武時代はミスをしてもそこまで叩かれることがなかったけど、巨人では叩かれるからね。最初にレッテルを貼られると、それを取り除くのが大変。そういう意味では、シーズンの最初の入りが非常に大事になるだろうね。

――井端選手は片岡選手とはまた少し違った役割も期待されていると思いますが?

 もう年齢も年齢だし、機動力は期待できない。でも、バックアップ選手としての価値は高いし、守備要員、ここぞという時の右打ち、送りバントもある。チーム編成次第では2軍に落とされることもあるだろうけど、自分の役割というのは分かっている選手だから心配はいらないと思います。

――井端選手が坂本選手らに与える影響も大きいのではないかなと思いますが?

 特に守備面で他の内野手陣の手本となれる選手だから、良い補強だったと思う。坂本も井端から盗めるところはたくさんあるんじゃないかな? バッティングはタイプが違うから難しいだろうけどね。打つ方は、寺内とかが参考にできるはず。チーム全体としてのプラスは大きいと思うよ。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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