「悪くない」組み合わせになった日本=ブラジルW杯本大会 グループリーグ分析

川端暁彦

初戦のコートジボワールは消耗戦も予想

原博実技術委員長(右)と話し込むザッケローニ監督。組み合わせをどうとらえているのか 【写真提供:AP/アフロ】

 そして、グループCである。コロンビア、ギリシャ、コートジボワール、そして日本。客観的な立場から言えば、「くせ者がそろったグループ」といった感じだろうか。FIFA(国際サッカー連盟)ランク4位(11月28日付)に位置するシード国のコロンビアがワンランク上の評価を受けるグループだろうが、「安泰」と言うほどではあるまい。

 日本の初戦は日本時間6月15日(以下同)のコートジボワール戦だ。FWディディエ・ドログバ(ガラタサライ)は35歳になったが、なおも健在。MFヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティ)などワールドクラスのタレントを抱えるアフリカの強国である。
 開催地はレシフェ。この響きに聞き覚えのある人も多いかもしれない。日本がコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)でイタリアと対戦し、激闘を繰り広げたあの場所である。一度経験しているスタジアムで戦えるというのは、確固たるアドバンテージ。「出ていて良かったコンフェデ杯」といったところだろう。
 6月の平均気温は30度近くになるため、消耗戦も予想される。コートジボワールとは過去3度対戦し、日本の2勝1敗。ただ、日本が勝ったのはいずれも国内での親善試合で、中立地で行った10年W杯直前の親善試合では、0−2と完敗だった(そのとき、日本はドログバを負傷させている……)。

第2戦は「当たりたい」と思える国・ギリシャ

 次戦は6月20日、相手はギリシャだ。開催地のナタールは赤道に近い常夏の町。比較的涼しい時期だそうだが、そうは言っても暑いのは暑い。暑さを苦手とする傾向のある欧州勢の中では比較的強そうなギリシャであるが、日本より耐性が強いとは思えない。有利なポイントと言えそうだ。

 日本で広く名を知られているようなスーパースターは不在で、強豪ぞろいだったポット4では相対的には「当たりたい」と思える国ではあったが、別に弱いわけではない。セルビアやベラルーシに守備を固められて苦戦した10月の欧州遠征を思えば、楽観視できる相手ではないだろう。

 日本との過去の対戦は、わずかに1度。05年のコンフェデ杯において、当時欧州王者だったギリシャと日本は激突しており、FW大黒将志(杭州緑城)の一撃で日本が快勝した。内容的にも大きく上回った試合ではあった。それだけに、あまりギリシャの油断は期待できないかもしれない。

コロンビアとの最終戦は幸運!?

 そして最終戦は6月25日。シード国のコロンビアを相手にするゲームとなる。理想はもちろん2連勝してこの一戦に臨んでしまうことだが、そう甘い見通しもできまい。ここが日本にとっての決戦になる可能性は高い。

 ただ、コロンビアがすでに2連勝しているというケースは十分に想定され、日本戦でメンバーを落としてくるような展開はあり得る。この対戦順は、正直に言って幸運だったと言えるだろう。また他グループではシード国有利な日程が組まれているケースもあるのだが、このグループは各国同じ開催日。シード国にアドバンテージがないのもポジティブな材料だと言える。

 コロンビアは世界的スター選手となったFWラダメル・ファルカオ(モナコ)の登場もあって、一躍ブラジル大会のダークホースに浮上した強国。南米開催というアドバンテージも小さくない。

 開催地のクイアバはコロンビアから近いとは言い難いが、それでも多数のサポーターが詰めかけることが予想される。このクイアバも平均気温が年間を通じて30度を超え続けるような常夏の町。コロンビアより日本が暑さに強いとは言い難いところがあるので、相手にボールを保持されて回され続けるような展開は厳に避けたい。コロンビアと日本の過去の対戦成績は日本の1分け1敗。03年のコンフェデ杯では、フランスのサンテティエンヌにて対戦。MFエルナンデスの一撃を食らって惜敗するという展開だった。07年には埼玉でのキリンカップで対戦し、こちらはスコアレスドローに終わっている。

重要なのはコンディショニング

「日本は組み合わせに恵まれた」とまでは言えないだろう。

 ただ、より悪い組み合わせになる恐れは十分あったわけで、「悪くない」クジだったとは言えるはず。W杯では常にそうだが、今回の大会で特に重要なのはコンディショニングである。キャンプ地の選定を含めて、酷暑の3連戦を戦い抜くための準備が日本代表の成否を分けることになる。

 ちなみに、日本が仮に決勝トーナメントへ進むと、対戦相手はグループD。ウルグアイ、コスタリカ、イングランド、イタリアのいずれかということになる。もしも相手がイタリアであれば、ザックジャパンの集大成として、これ以上ない相手ということになりそうだ。

<了>

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著者プロフィール

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』をはじめ、『スポーツナビ』『サッカーキング』『フットボリスタ』『サッカークリニック』『GOAL』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。近著に『2050年W杯 日本代表優勝プラン』(ソル・メディア)がある

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