「悪くない」組み合わせになった日本=ブラジルW杯本大会 グループリーグ分析
初戦のコートジボワールは消耗戦も予想
原博実技術委員長(右)と話し込むザッケローニ監督。組み合わせをどうとらえているのか 【写真提供:AP/アフロ】
日本の初戦は日本時間6月15日(以下同)のコートジボワール戦だ。FWディディエ・ドログバ(ガラタサライ)は35歳になったが、なおも健在。MFヤヤ・トゥーレ(マンチェスター・シティ)などワールドクラスのタレントを抱えるアフリカの強国である。
開催地はレシフェ。この響きに聞き覚えのある人も多いかもしれない。日本がコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)でイタリアと対戦し、激闘を繰り広げたあの場所である。一度経験しているスタジアムで戦えるというのは、確固たるアドバンテージ。「出ていて良かったコンフェデ杯」といったところだろう。
6月の平均気温は30度近くになるため、消耗戦も予想される。コートジボワールとは過去3度対戦し、日本の2勝1敗。ただ、日本が勝ったのはいずれも国内での親善試合で、中立地で行った10年W杯直前の親善試合では、0−2と完敗だった(そのとき、日本はドログバを負傷させている……)。
第2戦は「当たりたい」と思える国・ギリシャ
日本で広く名を知られているようなスーパースターは不在で、強豪ぞろいだったポット4では相対的には「当たりたい」と思える国ではあったが、別に弱いわけではない。セルビアやベラルーシに守備を固められて苦戦した10月の欧州遠征を思えば、楽観視できる相手ではないだろう。
日本との過去の対戦は、わずかに1度。05年のコンフェデ杯において、当時欧州王者だったギリシャと日本は激突しており、FW大黒将志(杭州緑城)の一撃で日本が快勝した。内容的にも大きく上回った試合ではあった。それだけに、あまりギリシャの油断は期待できないかもしれない。
コロンビアとの最終戦は幸運!?
ただ、コロンビアがすでに2連勝しているというケースは十分に想定され、日本戦でメンバーを落としてくるような展開はあり得る。この対戦順は、正直に言って幸運だったと言えるだろう。また他グループではシード国有利な日程が組まれているケースもあるのだが、このグループは各国同じ開催日。シード国にアドバンテージがないのもポジティブな材料だと言える。
コロンビアは世界的スター選手となったFWラダメル・ファルカオ(モナコ)の登場もあって、一躍ブラジル大会のダークホースに浮上した強国。南米開催というアドバンテージも小さくない。
開催地のクイアバはコロンビアから近いとは言い難いが、それでも多数のサポーターが詰めかけることが予想される。このクイアバも平均気温が年間を通じて30度を超え続けるような常夏の町。コロンビアより日本が暑さに強いとは言い難いところがあるので、相手にボールを保持されて回され続けるような展開は厳に避けたい。コロンビアと日本の過去の対戦成績は日本の1分け1敗。03年のコンフェデ杯では、フランスのサンテティエンヌにて対戦。MFエルナンデスの一撃を食らって惜敗するという展開だった。07年には埼玉でのキリンカップで対戦し、こちらはスコアレスドローに終わっている。
重要なのはコンディショニング
ただ、より悪い組み合わせになる恐れは十分あったわけで、「悪くない」クジだったとは言えるはず。W杯では常にそうだが、今回の大会で特に重要なのはコンディショニングである。キャンプ地の選定を含めて、酷暑の3連戦を戦い抜くための準備が日本代表の成否を分けることになる。
ちなみに、日本が仮に決勝トーナメントへ進むと、対戦相手はグループD。ウルグアイ、コスタリカ、イングランド、イタリアのいずれかということになる。もしも相手がイタリアであれば、ザックジャパンの集大成として、これ以上ない相手ということになりそうだ。
<了>