W杯抽選会をより面白く見る方法=4つの視点で見る日本の理想の組み合わせ

清水英斗

重要なのは「グループ」ではなく「位置」

対戦相手ばかり注目されがちだが、会場となる都市や対戦順も重要だ。北部の高温多湿の都市で欧州勢と対戦したい 【Getty Images】

 A組は開催国の大声援を受けるブラジルが入るので、できれば避けたいところではあるが、実はA3ならばそれほど悪くはない。ナタル、フォルタレーザ、レシフェはいずれも北部の高温多湿の都市。涼しいところと、蒸し暑いところを行ったり来たりして体を壊すくらいなら、3試合とも同じような気候で順応してしまった方がいい。移動時間が短いのもメリットだ。ブラジル戦には勝てなくても、他の2試合で欧州勢やアフリカ勢を迎え撃てば、2位突破は十分に計算できる。A3は狙い目だ。

 同じような見方で言えば、D4、G4も、すべて北部の試合となる。つまりA3、D4、G4の3つは、日本にとって「高温多湿の欧州迎撃体制」を整えられる位置と言える。

 逆に、B組は実に快適なグループだ。B2に入った場合は、第一シード国と北部のサルバドールで試合をしなければならないが、B3とB4の試合はリオデジャネイロやサンパウロなど南部、中部に試合が集中している。快適な気候でプレーし、移動もそれほど長くはない。代表サポーターにとってもありがたい場所かもしれない。ただし、勝ち上がった場合にブラジルとの対戦が待っている可能性が高いのはデメリット。いや、むしろ望むところだろうか?

 C組は、C3が熱帯(レシフェ)→サバナ気候(ブラジリア)→熱帯(フォルタレーザ)と移動するのに対し、C4は熱帯(レシフェ)→熱帯(ナタル)→サバナ気候(クイアバ)。C4の方が順番としては体への負担が少ない。

 ……と順番に見ていくと、実は各組において有利な位置、不利な位置があることが分かるだろう。どのグループに入るのかはもちろん重要だが、各組2〜4の「どの位置に入るのか」も注目したいポイントだ。

日本の理想は“D4”

 まとめよう。筆者が考えるザックジャパンにとって理想の組み合わせは、以下の通りだ。

D組:
ベルギー(スイス)
カメルーンなどアフリカ勢
ギリシャorボスニア・ヘルツェゴビナorロシアなど欧州
日本

 日本はD4。初戦で欧州の国と高温多湿のマナウスで戦い、撃破。勝ち点3を先行する。2戦目は日本がコンフェデレーションズカップでイタリアと戦った高温多湿のレシフェでアフリカ勢と対戦。きっと現地の人たちはあのときの興奮を覚えているはず。日本の応援に回ってくれることを期待したい。この時点で勝ち点6として、ほぼ突破決定。最後はベルギーやスイスなど欧州シード国との対戦になるが、D1は熱帯のフォルタレーザからサンパウロで試合をし、再び熱帯のナタルへ戻ってくる。ずっと熱帯で試合をしているD4の日本よりも条件は悪い。休養日は日本よりも1日多いが、コンディション面では日本にも分がある。1戦目、2戦目で取りこぼした勝ち点があれば、ここで拾う。このシナリオで、どうだろうか?

 皮算用もいいところなのは重々承知だが、たまにはこんな妄想シミュレーションをやってみるのも楽しいものだ。

<了>

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著者プロフィール

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書は「欧州サッカー 名将の戦術事典」「サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術」「サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材では現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが楽しみとなっている。

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