ＪＴの注目は高橋昌美、奥村麻依、中村亜友美選手の大卒新人トリオ。高校、大学でキャリアを残してきた選手ばかりで、ユニバーシアードや東アジア選手権など国際経験も豊富。即戦力として期待がかかる選手たちです。

　竹下佳江さん、大友愛さんという、これまでのチームの象徴とも言えるような選手が引退しましたが、竹下さんの後を引き継いだ山口かなめ選手も昨シーズンはルーキーながらほとんどの試合に出場しました。思うような結果を出せず悔しい思いもしている分、今シーズンのリベンジに期待がかかります。

　昨シーズンはレギュラーシーズン最下位に沈んだパイオニアですが、１レグの７試合をすべてフルセット負けという不運や、正セッターの冨永こよみ選手がアキレス腱断裂というアクシデントも重なりました。今シーズンは昨年勝ちきれなかった要因を課題に掲げて、どんな変化を遂げたのか、注目です。

　冨永選手も戻り、リベロは守備力、統率力が抜群の吉田真未選手がいます。さらに二段トスを打ち切れるミドルブロッカーの香野晶子選手、森谷史佳選手など攻撃力の高い選手がそろっています。昨年の糧を生かし、まずはどんなスタートを切るかが１つのポイントとなりそうです。

　そして今シーズン、チャレンジリーグから昇格を果たし、５シーズン振りのプレミアリーグ復帰を果たしたのが日立です。

　エースの江畑幸子選手や、リベロの佐藤あり紗選手、セッターの永松幸乃選手など全日本で活躍した選手だけでなく、攻守に長けた高橋沙織選手や、遠井萌仁選手、今シーズンから加わった米国代表のミドルブロッカー、ローレン・パオリーニ選手など、昨年までチャレンジリーグにいたことが信じられないぐらい、戦力は十分にそろっています。

　他の７チームからすれば『日立には負けられない』と思うかもしれませんが、波に乗れば一気に走る可能性は非常に高いと思います。チームワークがあり、勢いに乗せると手をつけられない強さがあるので、四強入りも大いに有り得るのではないでしょうか。

　新戦力の台頭が予想される今シーズン、特に注目しているのはセッターとミドルブロッカーです。

　狩野舞子選手を筆頭に、パイオニアの冨永選手や東レの田代選手、ＮＥＣの松浦麻琴選手や日立の細川絢加選手など、さまざまなチームに、タイプの異なる大型セッターがそろっています。それぞれがどんなゲームメイクを見せるかも見どころとなるはずです。

　そして、グラチャンでは本来のミドルブロッカーを１人にする『ＭＢ１』を日本の新戦術としたため、ミドルの選手は悔しい思いをしたはずです。各チームや選手個々だけでなく、日本のためにもミドルの攻撃力アップは大きな課題でもあるので、東レの伊藤選手など、若手選手の活躍にも期待しています。
『この選手は代表に入るのではないか』など、会場で実際に選手のプレーする姿を見て、これからの日本代表を思い描くのも、１つの楽しみと言えるのではないでしょうか。

　私のオススメは、サーブの軌道や、選手の動きが見えるエンド席からの観戦です。
　それぞれの選手のサーブがどんな回転をしているかということだけでなく、今はサーブの狙いが明確で、各チームに必ず約束ごとがあります。なぜこの選手が狙われているのか、どうしてここにばかり打つのか。ワイド攻撃を潰すためにミドルの助走コースへ打っていたり、セッターが出てくるところを狙って打つサーブもあります。『サーブ』に注目するだけでも、戦術や戦略が見えてくるはずです。

　ぜひ会場で、バレーボールの醍醐味を感じて下さい！

＜了＞

　１９８４年６月１９日生、東京都江戸川区出身。小学校２年の時に地元のクラブでバレーボールを始め、小中高で全国制覇。特に成徳学園高３年時には春高バレー、インターハイ、国体の３冠を達成した。
　その年に初めて全日本に選出されると、同じく高校生でメンバーに選出されていた栗原恵（現：岡山シーガルズ）とともに「メグカナ」コンビとして人気を博す。高校卒業後は東レに入社。ワールドカップ、アテネ五輪に出場する。２００７年ごろから椎間板ヘルニアなどのケガに苦しみ、１０年に２６歳で現役を引退。日本バレーボールリーグ機構への出向を経て、現在は東レに広報担当として勤務するほか、バレーの指導、普及活動にも携わっている。