“最強対決”序盤2戦は意外な凡戦に=上原&田沢、第3戦以降はさらなる消耗戦

杉浦大介

第3戦以降も鍵となるのはブルペン

第3戦以降、田沢の力がより重要になってくる 【写真は共同】

 最初の2試合はいわば“痛み分け”のような形で星を分け、シリーズは現地25日から舞台をセントルイスに移すことになる。

 DH制度のないナ・リーグのルールで行なわれる3試合は、これまで以上にロースコアでの接戦の連続となることが有力。「もっとシビれるような試合になるんじゃないですか」と上原が予想するように、大舞台の緊張も徐々に解け、よりハイレベルな激戦が続くことになるのではないか。そして、その中では、第2戦同様にやはりブルペンが鍵となって来る気がしてならない。
 支配的な先発投手の不在はレッドソックスの懸念材料として常に挙げられ、実際に今プレーオフ中も7イニング以上を投げたのはレスター(2度)だけ。クレイ・バックホルツの体調不安も囁かれるだけに、今後も上原、田沢、ブレスローを中心としたリリーフ陣に大きな負担がかかって来るに違いない。

 一方のカージナルスも、第3、4戦で先発予定のジョー・ケリー、ランス・リンはウェインライト、ワカと比べて力が落ちる(注/第4戦は中3日でウェインライト先発の可能性も)。だとすれば、第2戦で驚異的な切れ味を披露したセットアッパーのカルロス・マルチネス、プレーオフでは昨季から14登板連続無失点を続ける抑えのトレバー・ローゼンタールの仕事がより重要となるのだろう。

決戦の地セントルイス、どちらが上か見えてくる

「もうここまで来たらバッターも良いバッターしかいないし、ブルペンも良いブルペンしかいない。それがワールドシリーズじゃないですか」

 今後の厳しい戦いを覚悟したように語り残したボストンの守護神・上原は、最後の力を振り絞り、カージナルスの豪腕ブルペンとの消耗戦を制することができるか。そして、ここまでコミカルな凡ミスも多かったワールドシリーズは、全米のスポーツファンの期待通りにヒートアップして行くのか。

 決戦の地はセントルイス――。トム・ソーヤゆかりの地での3試合で、どちらの力が上か、どちらが今季のMLB王者に相応しいか、答えが見えて来るのだろう。多くとも残り5試合。スリリングな期待とともに、2013年シーズンももう本当にあとわずかである。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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