偉大なるホースマン中村和夫の夢の結実=地味血統トウケイヘイローが良血打倒だ
無名の競走馬ミルジョージを日本に導入
ミルジョージは種牡馬として、JRA・GI3勝を挙げたイナリワン(写真は89年天皇賞・春、鞍上は武豊)など活躍馬を輩出 【写真は共同】
そして、私が出会った頃、中村氏が「この馬を何としても種牡馬として成功させるんだ」と鼻息荒く話していたのが種牡馬にしたばかりのサンデーサイレンス二世ゴールドヘイローである。同馬は中村氏の長男・伊三美氏のケイアイファームで生産、大井競馬でデビューし8戦5勝したが脚部不安で引退。中村氏は信念を貫くうように、自らが所有する数十頭の繁殖牝馬にゴールドヘイローを配合し続けた。同期のSS二世で種牡馬入りしたのはダービー馬アグネスフライト、2冠エアシャカール……などがいるが、ゴールドヘイロー産駒は2007年、主に地方競馬でビューすると高い勝ち上がり率を誇り、翌年には地方競馬の2歳部門でチャンピオンサイアーとなった。そして今年、中央の舞台に彗星のように現れたのが、中村氏が生産したトウケイヘイローなのである。
トウケイヘイローは中村氏の“執念”が作り上げた
平々凡々な人生を送ってきた自分にとってトウケイヘイローこそ親近感を覚える。並み居るエリートサラブレッドたちをなぎ倒し、盾の栄冠を手にする夢を託してみたい。