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FC東京・長谷川がトップ下で見せた成長
守備力の向上から生まれた攻撃の責任感

敵将も称賛「グッドプレーヤーだ」

トップ下で活躍した長谷川。ボランチなど守備的なポジションをこなした経験が攻撃面でも生きている
トップ下で活躍した長谷川。ボランチなど守備的なポジションをこなした経験が攻撃面でも生きている【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 FC東京の長谷川アーリアジャスールが9月のJ1月間MVPに選出された。


 横河武蔵野FCに勝利した天皇杯二回戦を経て開催されたJ1のリーグ戦は三試合。J1第25節(9月14日)の対浦和レッズ戦では3−4−2−1のボランチと4−2−3−1の二列目をこなし、第26節(9月21日)の対名古屋グランパス戦からはトップ下を務めているが、この前めのポジションでの活躍が、衆目を集めた結果だろう。


 対名古屋戦では高橋秀人が頭で落とし、ルーカスがドリブルで中央ゴール前へと持ち込んでのパスを長谷川が決めて先制。これが決勝点となっている。長谷川はダメ押しの2点目もゴール付近でのボール奪取により演出していて、この日の全得点に関与することとなった。


 試合後、名古屋のドラガン・ストイコビッチ監督が握手を求めてきた。長谷川はこのときの様子を高揚した面持ちで語った。


「座っていたら、近寄ってきて握手をしたピクシーから“グッドプレーヤーだ”というふうに声をかけられました。普通にうれしかった」


 実はストイコビッチ監督とは試合の前にも接近、遭遇があった。森重真人とストレッチをしているときに、目の前を通りかかったストイコビッチ監督を見て、長谷川は二人で「おい、ピクシーだよ」と、スターを間近で観た子どものようにはしゃいでいた。


 するとランコ・ポポビッチ監督と話をしながら戻ってきたストイコビッチ監督が、軽く長谷川の頭を触ったのだという。


「おい、ピクシーに頭触られたぞ!」


 そのエピソードがあっての握手だったから、長谷川はよけいに驚いた。ストイコビッチ監督本人の心中は測りかねるが、あるいは現役時代の自分に重ねたのかもしれない。かつてのストイコビッチは名古屋で4−4−2のFWに入り、チャンスメーカーとストライカーを兼ねた10番として華麗に舞っていた。プレースタイルがまったく同じというわけではないにしろ、ポジション柄、求められる責任には似通ったところがある。


 第27節(9月28日)の対大宮アルディージャ戦ではワイドの位置から中にパスを出してシュートを決める得点パターンで、左サイドにいた東慶悟からのパスの中継点となり、ルーカスの先制点をアシストするラストパスを長谷川が供給した。前半の終了間際には気迫に満ちた飛び込みで相手選手の「当て出し」を誘い、コーナーキックを獲得してルーカスの2点目に貢献した。結局5−2で大宮に勝ち四連勝、FC東京は5位に浮上した。

ボールを失わないことの大切さを学ぶ

 長谷川を練習場のミックスゾーンで囲んでいると、ポポビッチ監督が「スター」と呼んで冷やかしながら通りすぎていく。トップ下で輝いている理由はなんなのか。ポポビッチ監督は次のように語った。


「どこでプレーするにしろ、アーリア(長谷川)に限らずほかの選手も、チームに貢献するプレーをしなくてはいけない。自分の個性、自分の力を出して、貢献しなければいけません。アーリアはボランチやサイドでプレーすることによって、それまでは守備力を評価されていませんでしたけれども、そういうところ(ボランチやサイド)で守備をする意識は高まりましたし、守備力も上がってきた。そうすることによって――もちろん攻撃は彼の持ち味であり、いい部分なんですけれど――それもアップした。どういうことかというと、守備をすることによって、ボールを失わないことの大切さを彼はすごく学んだ。そして攻撃するうえでの責任感も出てきた。


 だからこそ攻撃の質が増して攻撃力もアップしている。彼がクリエーティブさをいつなんどきも欠いたことはありませんから、その部分も生かしながら、責任感が生まれてきて彼のいいプレーにつながっていると思います。


 いろいろなポジションをやることによって、相手が何を考えているとか、自分たちのチームメート、異なるポジションの選手がどういう動きをしてほしいとか、そういうことも分かるようになってきていると思います」

後藤勝

サッカーを中心に取材執筆を継続するフリーライター。FC東京を対象とするWeb/メールマガジン「トーキョーワッショイ!プレミアム」(http://www.targma.jp/wasshoi/)を随時更新。著書に小説『エンダーズ・デッドリードライヴ 東京蹴球旅団2029』(カンゼン刊 http://www.kanzen.jp/book/b181705.html)がある。【Twitter】@TokyoWasshoi

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