青木宣親はMLB有数の“過小評価選手”
日本人野手の評価を回復させる存在に
イチロー、松井に続く日本人野手の例外的な存在へ――来年はさらなる飛躍の年となる 【写真は共同】
近年は福留孝介、西岡剛、川崎宗則といった日本人野手の苦戦が続き、その商品価値も急降下。そんな低評価のとばっちりをもろに受けたのが、日本で3度も首位打者に輝きながら、ブリュワーズ入り時には入団テストまで受けさせられた青木だった。しかし、日本球界を代表する打撃技術を擁する青木なら、日本人野手の能力を見直させることも可能なのではないか……。
それから2年が過ぎ、青木は奮闘しているが、日本人野手全体の受難の時代は続いている。今季は田中賢介(ジャイアンツ)はメジャーでは15試合の出場のみに止まり、中島裕之(アスレチックス)に至ってはシーズン通じてのマイナー暮らし。パワー不足、フィジカル面の物足りなさは否定し難く、今後にメジャーの舞台を目指す選手にも厳しい条件が突きつけられるに違いない。
ただ……そんな状況下だからこそ、青木の堅実な仕事ぶりにはより価値があるという考え方もできるのかもしれない。
「ピッチャーにとって嫌なバッターにならなければいけないと思っています。悪いながらも何とか粘って(三振しない)というのは良いですが、苦し紛れに当てに行ったバッティングもあった。内容をもっと良くしていきたい」
今季も597打席でわずか40三振、5月25日〜6月1日には72打席連続無三振というブリュワーズの球団タイ記録も作ったが、本人は満足していない。
その辛抱強いプレースタイルは強いチームの中でこそ際立つだろうだけに、所属するブリュワーズが再建体制にいる現状は少々残念ではある。しかし、青木にとって来季は契約最終年だけに、シーズン中にでも新たな道は開き得る。
いざ全国区へ「来年は飛躍の年にしたい」
注目度が高まる中で、例えば3年連続で出塁率.350、20盗塁といった数字をクリアすれば存在感は際立つ。その際には、イチローや松井秀喜のレベルまでは至らないまでも、彼らに続く“日本人野手の中の例外的な存在”として青木が認められることも十分に可能に思える。
「来年は飛躍の年にしたい」
そう抱負を述べる青木にとっての2014年は、核弾頭としてブリュワーズの復活に貢献する年になるか。あるいはいわゆる“雇われガンマン”として、シーズン中に強豪に引き抜かれる運命を辿るか。
いずれのシナリオ実現のためにも上質なパフォーマンスを続けることが必須条件だが、それはこれまでもずっと変わらない。テスト入団、第4の外野手といった冷淡な扱いを受けながら、メジャーでもハイレベルのリードオフマンと呼ばれるほどの立場まで這い上がった。こんな格好良さもある。そしてこの雑草の男にとって、来季はさらなるステップを踏む年になる。
メジャーで通用する最新の“例外的日本人野手”は、2014年の間に全国区に飛躍できるのかどうか。厳しいメジャーの世界では、もちろん楽観はし切れない。だが、今季の終わりに青木が浮かべた充実した表情の向こうに、さらに明るい未来が透けて見えて来るかのようでもあった。