ファンクラブ会員2.5倍 人気復活の兆し感じる横浜DeNAの球団経営哲学とは?

石塚隆

「やるべきことは『野球振興』を通して、地域社会に貢献すること」

プロ野球界初の試みとして実施したプロアマ交流戦。DeNAのファーム、社会人、大学のチームが対戦した 【(C)YDB】

 確かに去年から今年にかけ、ウェブや様々なメディアでのニュースに加え、横浜周辺の鉄道駅や電車内の広告など、神奈川県下でのDeNAの広告看板やPR活動などを目にする機会が増えてきた。
「例えば、調査や分析のうえで、この地域や路線に過去にこれぐらいファンの方々がいたはずだから、どのようなタイミングで、どんなメッセージを、どこで伝えれば、どういった層の人の目に触れ、そして心に伝わるマーケティングになるかということを効果分析を含めて、繰り返しています。結果として徐々にファンの方々が戻ってきてくれていることや、また同時に新規顧客層がひろがっていることが数字上からもわかってきています」

 このような的を射たマーケティング戦略の成果として、昨年4回だった大入りが今年はすでに13回を数え、さらにファンクラブ会員増員にも反映され前年比248%という驚くべき数字をあげている。単にチームが強くなっただけではここまでの数字は見込めないだろう。

 また、球団の数ある地域貢献活動の中でも興味深いのは、8月20〜21日にプロ野球界初の『プロアマ交流戦』を実施したことだ。近年、野球界のプロアマ交流は盛んになってきたが、これは神奈川県下の社会人チーム(東芝、三菱重工横浜)と大学チーム(桐蔭横浜、関東学院、横浜商科)が、DeNAのファームチームとトーナメント戦をやるものであり、プロの球団としては画期的な試みだ。

「私たちが神奈川県に一つしかないプロ野球球団としてやるべきことは、この地域の『野球振興』を通して、地域社会に貢献することです。プロ野球だから、という大上段からの考え方ではなく、地域社会の一員として、野球というスポーツのもとに、地域を一緒に元気にしていけるような存在になっていきたいですね。
 当然、そのためには、球団とチームが、ひとつの株式会社横浜DeNAベイスターズの傘の下で同じ方向を見ていなければいけません。今回の交流戦は、そういった意識作りが2年目でようやく形になってきたことの現れだとも思っています」

 新生・横浜DeNAベイスターズは、徐々に改革を進め経営、チームともに成果を上げている。池田社長いわく「まだまだ通過点。ここから紆余曲折もあるだろうが、ビジョンが大切だ」とのこと。明確な戦略や方針があるのならば継続が大前提。不確かで、ビジョンが見えず迷走した過去をぜひ払拭してほしい。

<了>

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