ミランが本田ではなくカカを選んだ理由=移籍に難色を示したCSKAの思惑
カカの移籍金はゼロ
ミランは本田からターゲットを変え、カカを移籍金ゼロで獲得した 【写真:アフロ】
ミランはギアを入れ替えた。そして本田の代理人として兄の弘幸氏のサポートに付いていた大物代理人エルネスト・ブロンゼッティも、レアル・マドリーとミランとの間の橋渡しにかかりきりになった。レアル・マドリーは2009年にミランに約束した6800万ユーロ(当時のレートで約92億円)の移籍金の支払いを完遂しておらず、それを相殺する形で『移籍金ゼロ』も実現。今出て行くお金のことだけを考えれば、本田の夏移籍よりも無駄な支出が少なくなる。本田が日本代表で練習に励んでいた9月2日、ブロンゼッティは「資金のある時ならいざ知らず、ない時でも見事な交渉を展開するガッリアーニ副会長は本当に化け物だ」と嬉々(きき)として語っていたのだ。
そんなミラクルを果たしたガッリアーニ副会長は、「1万5000人の“孤児”がスタジアムに帰って来る」とやけに具体的な数字を出して喜んでいる。「日本からのインバウンド収入よりも、彼らはカカ獲得による入場者増加の効果を選んだのだ」と前述の記者は言う。4カ月待てば移籍金ゼロで手に入る本田は、マーケティングの面でも無理に獲得を急がなくて良い存在になってしまったのである。
1月の加入は既定路線
イタリアでは、本田の1月のミラン移籍は既定路線として扱われている。「合意文書も交わされた」と報道されたし、EU圏外国人獲得枠も空けてある。もっともトップ下にはクラブのレジェンドがいる状況だが、ビッグクラブで厳しいポジション争いは当たり前だ。情報としてはまったく眉唾(まゆつば)の域だが「本田の移籍でカカはセカンドトップになり、立場が微妙になるのはむしろ点の取れない(ステファン・)エル・シャーラウィ」と書き立てる新聞もある。いずれにせよ本田の目線の高さ次第で、その後の運命はいくらでも変わり得るはず。希望を持って推移を見守りたい。
<了>