プロへの土台を作るユース年代の食生活=Jクラブに広がる食事を大切にする気風
国見高校に見る「食育」の好事例
今では各クラブユースも「食育」を大切にし、全寮制や半寮制を採用するクラブも増えている 【写真は共同】
一方、高体連、つまり部活のほうはどうだろうか。近年では、長崎県立国見高校の全盛期の例が分かりやすいかもしれない。「食事もトレーニング」としていた小嶺忠敏総監督(当時)の話は、ともすれば精神論として解釈されてしまっていたが、そうではない。当時の長崎県では『長崎県スポーツ科学・栄養研究会』の管理栄養士による幅広い指導が行われており、国見でも寮食がこの管理下にあった。「まずは三度の食事。そして技術」というモットーの下、1日5000キロカロリーの摂取を目標に、3度のバランスの良い食事を志向。当時の国見は厳しいトレーニングばかりがクローズアップされ、食事の量や「食べられないやつはレギュラーになれない」といった話も、旧態依然の根性論として片付けられてしまっていたが、そうではないのだ。躍進の背景に徹底された「食育」があった。よく食べていたからこそ、国見は強かったのだ。
プロ選手を育てるために必要なピッチ外の環境
いまから5年ほど前のこと。ある強豪Jクラブのジュニアチームに着任した監督が、就任早々の練習から引き上げると、選手たちがおもむろに自分のカバンからスナック菓子を取り出して食べ始めるという光景を目撃。「良い素材が集まっていても、これが当たり前になっている環境ではプロ選手なんて育つはずがない」と戦慄(せんりつ)したという微妙に笑えないエピソードをこっそり教えてもらったことがあるが、今後はこうしたことも少なくなっていくだろう。選手は1日120分の練習だけで成り立つわけではない。日々の生活こそが肝要。「食べなくては、育たない」のである。
<了>
8月24日(土)放送のFOOT×BRAINでは、プロに学ぶ第2弾として、サッカー選手の栄養をテーマに正しい食事の取り方などをクイズ形式で紹介します。