ウズベクのサッカーが遂げた劇的な躍進=勝負強さ養うリーグ構成の仕組みとは

柴村直弥

各年代で好成績を収めるウズベキスタン

近年、躍進を遂げているウズベキスタン。ワールドカップ3次予選では敵地で日本に勝利した 【Getty Images】

 6月18日、2014年ワールドカップ(W杯)・ブラジル大会アジア最終予選の最終戦、試合終了のホイッスルとともに、ウズベキスタン代表の選手たちはピッチに倒れ込んだ。カタールとの最終戦は終盤に5得点を奪う猛攻で5−1で圧勝するも、勝ち点で並んだ韓国に得失点差でわずかに1及ばず、A組3位でプレーオフにまわることになった。

 W杯初出場を目指すウズベキスタン。昨年のアジア3次予選で、日本がウズベキスタンにホームで0−1の敗戦を喫したことは記憶に新しい。11年のアジアカップでも4位という好成績を収め、各年代でも結果を残しつつある。

 昨年行われたU−16アジア選手権では、決勝で日本を破り優勝。現在開催中のU−20W杯にも昨年のアジア予選を勝ち抜き、出場を決めている。一昨年メキシコで行われたU−17W杯では、アジア2位で予選を突破すると 本大会のグループリーグも1位で通過し、決勝トーナメント1回戦ではオーストラリアに4−0で勝利した。準々決勝でウルグアイに0−2で敗戦し、大会を去ることになったが、FIFA主催の世界大会で初のベスト8という成績を残している。

 近年目覚ましい躍進を遂げているウズベキスタンだが、なぜこのように各年代の代表チームが結果を残すことができているのか? ウズベキスタンリーグの仕組みと特徴からその要因を探っていきたい。

トップ、セカンド、3軍を保有する1部チーム

 まず、ウズベキスタン1部リーグのチームは基本的には3つのチームを持っている。トップチーム、セカンドチーム、そしてウズベキスタン2部リーグを戦っている3軍のようなチームだ。

 私が所属しているFKブハラというチームもFKブハラ、セカンドチーム、そしてFKブハラIIという2部で戦っているチームがある。昨年、私が所属していたパフタコールも含め、ほかの1部リーグのチームも基本的には同様である。それぞれに20〜25人程度の選手が所属していて、セカンドチーム、3軍のチームは20歳前後、あるいは10代の若い選手たちを中心に構成されている。

 出場規制としては、登録チームの試合のほかに1つ上、あるいは1つ下のチームの試合に出場ができる。つまり、トップチームの選手はセカンドチームの試合にも出場でき、セカンドチームの選手はトップ、2部リーグ、両方の試合に出場ができ、3軍の選手はセカンドチームの試合にも出場が可能というわけである。

 では、トップチームがウズベキスタン1部リーグ、3軍が2部リーグを戦っているのであれば、セカンドチームはどこで試合をしているのか? 実はセカンドチームにはセカンドチームリーグという、Jリーグでかつて実施していたサテライトリーグのようなものがある。トップチームの公式戦で出場機会の少ない選手などが主に出場するという点ではサテライトリーグと基本的に同じだが、大きく違う点は開催日と対戦相手、試合数である。

 トップチームの試合の前日に、トップチームの対戦相手と同じチームと同じ地(スタジアムは別)で対戦するのである。
 例えばFKブハラとパフタコールが、FKブハラのホームタウンのブハラで1部リーグの試合を戦うとすると、その前日、ブハラで両チームのセカンドチーム同士の試合が開催される。これには、翌日の試合でベンチ入りする18人の選手の中から5、6人が出場する。場合によっては翌日にスタメン予定の11人以外の全員が、前日にセカンドチームの試合に出場することもあるのだ。

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著者プロフィール

1982年生まれ。広島市出身のDF。広島皆実高から中央大へ。卒業後はアルビレックス新潟シンガポールでプレーし、Jリーグではアビスパ福岡でプレーした後、徳島ヴォルティスでは主将を務め、ガイナーレ鳥取、藤枝MYFCでも活躍し、2011年ラトビアの強豪FKべンツピルスへ移籍。同年のUEFAヨーロッパリーグでは2回戦、3回戦の全4試合にフル出場した。日本人初となるラトビアリーグ及びラトビアカップ優勝を成し遂げ、国内2冠を達成。翌年のUEFAチャンピオンズリーグ出場権獲得に大きく貢献した。国内リーグ最多優勝並びにアジアで唯一AFCチャンピオンズリーグ(ACL)全大会に出場しているウズベキスタンの名門パフタコールへ移籍し、ACLにも出場。熱烈オファーを受け、同リーグのFKブハラへ移籍。同チームでも主力として活躍し、2シーズンに渡り公式戦全試合に出場。14−15シーズンからはポーランドのOKSストミール・オルシティンでプレー

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