ファイナルMVP・レブロンの光と影=栄光極めたNBA最高選手の裏の顔

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不振を指摘されたレブロンの自問自答

ファイナルでもMVPに輝いたレブロン。活躍の原動力になったのは自身への批判だったようだ 【写真:AP/アフロ】

 いずれにしても、そんなところでレブロンは幼少時代を過ごしたのだ。
 
 頂点に立ったのは、今回が2度目。
 シリーズ前は、圧倒的有利が予想されたが、スパーズに常に先手をとられる展開。その原因としては、レブロンの不振が指摘された。

 第3戦、36点差で敗れ、スパーズに2勝1敗とリードを許すと、その試合で15点しか挙げられなかったレブロンに批判が集中した。
 
 第4戦は33点をマークしてさすがと言わせたが、第5戦で競り負けると、再びその責任を負わされた。

 しかし、第6戦で32点、第7戦でも37点を記録すると、彼がMVPを受賞することに異論の余地などなかった。

 第7戦は特にアウトサイドシュートが冴(さ)え渡った。
 レブロンも言う。「だろ?」
 シリーズ序盤は、アウトサイドゲームを捨てて、中へ中へ入って得点しようとしていた。当然、ディフェンスが厳しくなる。が、ファールをもらって、フリースローラインに立つこともでえきる。そんな読みあった。

 しかし、ふと彼は自分に問いかけたそうだ。
「俺は、NBAでもベストのミドルジャンプシューターじゃなかったのか? 今季、3点シュートは、キャリア最高の成功確率じゃなかったか? シーズン中、ずっとそう外からシュートを打ってきたじゃないか。ならば、なぜ、それを捨てなきゃいけない?」

崖っぷちに立たされるも批判に奮起

 スパーズは、レブロンが外でボールを持っても、厳しくチェックに行かずにレブロンにスペースを与えた。打ってこないという読みが、スパーズにはあった。レブロンは逆にそれを利用しようと考えた。その時、自分本来のスタイルに立ち返ったのだという。

「練習でもずっとやってきたこと。オフにもその練習に明け暮れた。ならば、状況がどうであれ、やってきたことを信じようと思った」

 信じた結果は、第7戦で5本の3点シュート成功という出来過ぎたものでもあったが、レブロンにしてみれば、してやったりか。

 来季は3連覇に挑む。今の主力メンバーは、そのまま残る確率は高い。
 ただ、それには1つ欠かせないものがあるようで、レブロンはメディアとの会見の最後をこんな言葉で締めくくった。

「これからも、俺にやる気を起こさせてくれ。僕には君たちが必要なんだ(笑)」

 批判され、それに奮起した、ということか。皮肉めいてはいたが、嫌みはなかった。

 試合後、パーティに繰り出したレブロン、ドウェイン・ウェイドら。その会場には球団トップのパット・ライリーも顔を見せ、朝まで続いたという。サプライズゲストは、ヒートを崖っぷちまで追いやったスパーズのダニー・グリーン。3点シュート成功数のファイナル記録を作った彼が祝福に訪れると、レブロンらと健闘を称えあったそうだ。

<了>

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