ファイナルMVP・レブロンの光と影=栄光極めたNBA最高選手の裏の顔

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レブロン宅は“超”がつく高層マンション

NBAを連覇したヒートの大黒柱・レブロン。その成功が偉大すぎるが故に、彼の過去についてを知る機会は少ない 【Getty Images】

 今年のNBAファイナル第7戦が行われた20日(日本時間21日)午後、マイアミから北に40キロほど離れたところにあるフォート・ローダーズデールという街の空港に着いた。そこからは、10人ほどの乗り合いバスでマイアミのダウンタウンへ。車中、かつてマイアミに住んでいて、「マイアミ・ヒート対サンアントニオ・スパーズの第7戦を見に行くんだ」という白人の若い男の子が、ガイド役を買って出た。

「右側に見えるのが、(NFLの)マイアミ・ドルフィンズのスタジアムだ。弱いから、誰も行かないけどね」

「あっ、事故だ。マイアミの人は、危ない運転をするから、運転しない方がいいよ」

「サウスビーチ内でどう移動するかって? タクシーに乗りな。せいぜい8ドル(約800円)だから」

 その彼のテンションがいっそう上がったのは、バスがヒートのホームコート、アメリカン・エアラインズ・アリーナに近づいた時だ。

「ホラ、ここがアリーナだ。で、道路を渡った反対側に高いビルが見えるだろ? ここにレブロン・ジェームズが住んでいるんだ」

 それは、“超”がつく高層マンション。
窓からは、ちょうどアリーナが見下ろすことができ、その先にあるビスケーン湾を一望できるに違いない。
 ステータスシンボル。まさに、そんなコンドミニアムだった。

知られざるレブロンの極貧だった幼少生活

 その高級マンションに住むレブロン率いるヒートが第7戦を制し、2連覇を達成。レブロンが2年連続MVPにも選ばれると、表彰式で意外なことを口走ってた。

「俺は、レブロン・ジェームズだ。オハイオのアクロンからやってきた。俺は、本当は、ここにいるような人間じゃないんだ」

 何が言いたかったのだろうか。
 少なくとも、自らの出生を口にしたことで、多くの人がイメージしたのは、レブロンの極貧の幼少生活だ。家賃滞納で、追い出される度にアパートを転々とし、人々の生活を下から眺めて育った。

 今とのギャップ――。あの超高層マンションと比べれば、まさに天と地を逆さまにしたような違いである。

 一度、彼が生まれ育ったアクロンを訪ねたことがある。きれいな田舎町だが、影があった。レブロンがかつて住んだアパートの1つは、普通の人が決して訪れることのない谷底にあった。谷底には、橋が架かっている。そこからは、年に何人か飛び降りる人がいる、とのことだった。朝起きて、公園に飛び出していった子どもたちが、それを見つける、そういう環境で彼は育ったのだ。

 別のアパートに向かうと、かつてアクロンに住み、街を案内してくれた友人は言った。
「ここでは車を止められない。座り込んでいる連中とも目を合わせるな」

 そのアパート周辺の道路には、座り込んでいる人であふれていた。ギャングなのか、ホームレスなのか。考えているうちに、友人は車のスピードを上げて、その場を走り去った。

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