世界で勝つための日本サッカーを再考する=メキシコやスペインを模倣する必要はない
誰かのまねをする必要はない
日本は他国の模倣をする必要はない。冷静に強みを分析し、世界で勝つためのサッカーを育てていけばいい 【Getty Images】
「日本では身体を当てる前にパスではたいて、コンタクトを回避する習慣を身に付けていたのですが、メキシコの選手はパスを受ける前に身体、特にお尻をぶつけてプレーエリアを確保する習慣が身に付いています。その意味では、メキシコに来たことによって『うまさ』や『技術』の定義も少し変わった気がしますし、日本はメキシコの身体の使い方、倒れない技術を学ぶべきだと思います」
冒頭に記した通り、グループリーグ敗退が決まったチーム同士の対戦ゆえに、今回の対戦を機に、あらためてメキシコの育成やサッカーに注目が集まることはないかもしれない。しかし、欧州にも南米にも属していないメキシコが世界で勝つために独自の育成システムとサッカーを構築し、五輪という舞台であっても、世界大会におけるタイトルを獲った事実は日本に勇気とアイデアを与えてくれる。海外で指導経験を積んでいるからこそ客観的かつ正確に日本サッカーの評価ができる西村氏は最後にこう述べた。
「別に誰かのまねをする必要はなくて、一人ひとりの運動量や、密集地帯でのコンビネーションからの崩し、ギャップでプレーできる技術といった日本人の特徴、強みを自ら出せるようにすればいい」
メキシコ戦は決して消化試合ではない
世界との差や壁を語り、世界の背中を追いかけたところで、結局のところ世界には追いつかない。本田圭佑や長友佑都といった選手から「W杯優勝」なる言葉、目標が出てくる背景には、彼らが日常的に肌感覚でそこを理解しているからだと考える。だからこそ、いま必要なことは他国、強国のいいところ取りをし、冷静に日本の強みを分析・認識した上で、軸を定めて「世界で勝つための日本サッカー」を育てていくこと。そうである以上、メキシコ戦は決して消化試合ではなく、1年後のW杯本大会でリベンジするためにも、イタリア戦同様に前向きなメンタルとプレーで、ゴールと勝ち点3を獲るべき重要な試合だ。
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