ファーガソンとモリーニョの異なる去り際=称賛と遺恨を残したそれぞれの最後
結果を出すも、多くの遺恨も残したモリーニョ
ファーガソンとは対照的に多くの遺恨を残してクラブを去ることになりそうなモリーニョ。彼は多くの敵を作り過ぎた 【Getty Images】
レアル・マドリーを率いた3シーズンでモリーニョはまずまずの仕事を果たした。この3年間でレアル・マドリーのプレーは向上し、彼が率いてきたほかのチームと同様にソリッドな集団となった。
ファーガソンにとってのリバプールと同じく、モリーニョも就任当初はフットボール史上最強とまで言われたバルセロナの壁に苦しんだ。だがモリーニョは宿敵に全く歯が立たない状況から、ついにはそのプレーを封じ込める戦い方を見出すに至った。
一方でモリーニョは周囲と良好な関係を築くことができず、常に大多数のスペインメディアと衝突を繰り返し、結果として自身だけでなくレアル・マドリーのイメージまでも悪化させてきた。
モリーニョはファーガソンとは異なる性格の持ち主だ。頭が良く、細部までこだわる完璧主義者であるにもかかわらず、彼は周囲と良好な関係を保つために必要な器用さを持たない。もしくは、持とうとしないと言った方が正しいかもしれない。なぜならモリーニョは、まるで自分が強くなるためには世界中を敵に回す必要があるかのように、どこへ行っても自らを悪役の立場に追いやってしまうからだ。
チーム内に支持する選手は5人もいない
はじめは第2GKのアントニオ・アダンに、その後は自身の負傷中に加入したディエゴ・ロペスに定位置を奪われたカシージャス、そして以前はモリーニョに忠誠を誓っていたペペがカシージャスを擁護したとたんに受けはじめた不遇は、現在のチーム内に漂う緊張感を表す一例だ。もはやチーム内にモリーニョを支持する選手は5人もいない。そのためか、最近のモリーニョは練習中に選手たちと一言も言葉を交わさないことも珍しくなくなっている。
クラブを真のエリートに磨き上げたファーガソンに対し、モリーニョは多くの傷口を残したままクラブを出ていくことになる。2人の異なる去り際は、両クラブの今後にも少なくない影響をもたらすだろう。
<了>
(翻訳:工藤拓)