いつまで続く?栗山ファイターズの苦悩=主力を欠いて我慢続く2年目の船出
開幕戦での“想定外”が悪夢の始まり
主力の相次ぐ離脱で厳しいシーズンを送る昨季パ・リーグ覇者の日本ハム。栗山監督の苦悩の日々は続く 【写真は共同】
栗山英樹監督率いる昨季のパ・リーグ覇者、日本ハムが苦戦している。開幕21試合を終え、8勝13敗の6位に低迷。もともと今季は田中賢介、糸井嘉男という中心選手2人がチームを去ったことで下馬評は高くなかった。とはいえ、これほどの開幕でのつまずきは予想だにしていなかったことだろう。
栗山ファイターズ2年目の船出。“想定外”は今季の開幕戦で早速起きた。エース・武田勝が一塁ベースカバーに入ろうとした際に左ふくらはぎを痛め戦線離脱を余儀なくされたのだ。緊急登板となった矢貫俊之の好投や、ゴールデンルーキー・大谷の活躍などで勝利することができたが、指揮官の苦悩はすでにここから始まっていたと言っても過言ではない。
埼玉西武との開幕カードは、初戦をなんとか白星で飾りながら、その後2連敗で負け越した。それを受け、なんとか巻き返したいと息巻いたQVCマリンフィールドでの千葉ロッテ戦で今度は天に見放される。4月2日の初戦は雨で中止。翌3日の試合は昨季MVPの吉川光夫がスライド登板となったが、昨オフ発症した左ひじの痛みで慎重にキャンプを過ごしてきたことで調整不足は否めず、結果は3−4と敗戦を喫した。
「(武田)勝がいきなりけがをしたり、次のカードの初戦が雨で流れたりと、うまくいっていない」
指揮官がそう語る通り、その後、各カードの初戦は相手チームのエースが登板するのに対し、ファイターズは常にローテーションの“谷間”。これを経験の浅い若手などで埋めることしかできなかった。
投打に苦難 結果残せず
また、投手事情もさることながら、打線も深刻な状況を抱えている。WBCで侍ジャパンの中心メンバーとして活躍した稲葉は打率1割にも満たない不振ぶり(23日現在、打率0割8分)。
「成績うんぬんより(稲葉の)体がうまく反応していないだけで、心配していない。体の状態を早く(良い状態に)持っていってあげないとこっちが申し訳ない」
今季41歳となるベテランであり、打撃コーチも兼任する稲葉を栗山監督は気遣うが、あと1本というところで得点に結びつかない打線の中で、中軸を担う彼の成績不振がもたらす影響は少なくない。実際、23日までのチーム打率は2割3分9厘、総得点は59。防御率同様、この2項目もリーグダントツの最下位だ。
気丈な指揮官「必ず流れが来る」
指揮官は気丈に語るが、結果はまだ伴っていない。例年以上に多くの若手が起用されるチーム状況を、将来を考えれば良しと考えることもできるが、昨季の優勝チームとして、育成とともに勝利を狙わなければいけない状況は、より指揮官の悩む材料になっていることだろう。
現在の成績は冒頭に挙げた主力メンバーを欠いてのもの。一般企業に例えるなら、さながら、役職のついた社員がおらず、若手社員だけで業績アップのために試行錯誤して奮闘している状態だ。期待の若手がミスを連発し、0−11と大敗を喫した21日の試合後、「必ず流れが来ると信じてやります。まずはあさってを全力で」と語った栗山監督。まだ戦いは始まったばかり。2年目の苦悩は、当初計算していた“役職のついた”メンバーが戻ってくる時期まで続くかもしれない。
<了>
(八幡淳/ベースボール・タイムズ)
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