藤田俊哉、三浦淳寛が分析する敗因と課題=ヨルダン戦は何がいけなかったのか

スポーツナビ

三浦淳寛(元日本代表)

カナダ戦に続きヨルダン戦でもセットプレーから失点。今後の改善が求められる 【写真は共同】

「2失点を喫したのが大きかった」

 まず今日の試合の敗因としては、前半のチャンスで決めきれなかったことが大きかったですね。そんな中、前半の終了間際にCKから失点しました。あの時間帯は良くなかったです。ヨルダンはあれで士気が上がりましたし、逆に日本は嫌なムードで前半を終えることになりました。

 2失点目に関してもカウンターを簡単にやられすぎたと思います。ヨルダンはカウンターに強いチームだと事前に分かっていたはずです。前線には10番(ハイル)、9番(アルサイフィー)、13番(バニアテヤ)など技術とスピードのある選手を擁していましたし、気をつけるべきところでした。あのシーンで10番をマークにいった吉田麻也も簡単に縦への突破を許してしまいました。吉田らしからぬプレーだったと思います。2点を先行されるとは誰も考えていなかったでしょうし、0−2とされてしまったことで試合は非常に難しくなりました。

 日本はサイド攻撃をもっと効果的に行うべきだったと思います。ヨルダンの両サイドの守備はかなりゆるかったので、もっとサイドをうまく攻めることができたら違っていたかもしれません。サイドからのクロスに対してボールウォッチャーになることも多かったですし、サイドの意識をもっと持つべきだったかなと思います。

 サイドからのクロスに合わせるという点からも、ハーフナーの投入は効果があったと思います。得点シーンでは、清武弘嗣のパスから香川が抜け出しましたが、あのシーンもハーフナーとDFが被ったことによって香川へのマークがゆるくなっていました。1点を奪い、さらに内田がPKを獲得して日本が同点のチャンスを得ましたが、遠藤が相手GKにPKを阻まれてしまいました。助走のタイミングを読まれてましたね。いつもの助走と同じ角度だったので、遠藤のPKは研究されていたのだと思います。

 ピッチの状態が悪かったこともこの結果を招いてしまった要因でした。日本らしいテンポの良いパス回しや、ダイレクトのプレーができませんでした。ピッチコンディションが日本のテンポを“殺してしまった”と表現できると思います。そして今日の試合は球際のプレーが弱かったと思います。1対1や球際のプレーで負けることが目につきました。

 そしてチームとしては、らしからぬパスミスなども多く見られました。個人のミスならば、それを修正すればいいのですが、味方とのコミュニケーション不足のところがありました。それはカナダ戦でも見受けられましたし、準備期間の不足が影響していたかもしれません。

 本田や長友の不在の影響はやはりありましたね。もともと彼ら中心のチームですし、特に本田の不在は大きかったです。その一つは今日の試合でミドルシュートの少なさが挙げられます。ヨルダンの守備はゴール前に張り付いていることが多かったと思います。本田のミドルシュートは引いた相手にとって脅威になったはずです。日本は、遠目からのシュートはあまりなく、きれいに崩すことばかりを狙っていました。きれいに崩すためには遠目からシュートを打ち、相手のマークを引き出すことも重要なので、そういったプレーが効果的にできていなかったと思います。

 ハーフナーの高さ、駒野友一のクロス、乾貴士の突破力と、同点に追いつくためのザッケローニ監督の選手交代にも、意図が見受けられました。しかし、DFラインの裏に正確なパスを供給できる中村憲剛を出しても良かったかなとは思います。カナダ戦での中村が入ることでリズムが変わりましたし。そういった選手交代の面も含めて2点のリードを奪われたということがやはり大きかったですね。ゲームプランが変わってしまった面もあると思います。

 今日の敗戦によってまったく油断ができない状況になりました。(6月4日にホームで戦う)オーストラリアも力のあるチームですし。次のオーストラリア戦で決めないといけないですね。そこで敗れるようなことがあれば、次はアウエーのイラク戦(6月11日)。今日の結果のように何が起こるか分かりません。

 よって今日の試合を教訓に次のオーストラリア戦で絶対にW杯出場を決めなければなりません。次の試合までに改善しなければいけないところは、決定力、ミドルシュートへの意識、最終ラインの安定ですね。6月4日のオーストラリア戦は埼玉スタジアムで、ピッチコンディションも良いと思います。たくさんチャンスを作り出すと思いますし、それをいかに得点に結びつけるかが、カギになってくると思います。

<了>

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