「大谷の二刀流」は新たな可能性の提示=大塚光二・新コーチが語る

構成:スポーツナビ

「人間死ぬまで勉強」で気持ち楽に

現役時代は西武の黄金時代を支え、プロ野球解説者として活躍。今季から日本ハムで外野守備・走塁コーチに就任する大塚光二氏 【スポーツナビ】

――改めて、最初にコーチ就任を打診されたのはいつごろですか?

 日本シリーズが終わって1週間〜10日した時です。栗山監督から電話がありました。最初はゴルフの誘いかなと思ったのですが、すぐに「ユニホームを着る気はないか」と言われました。

 この仕事(野球評論家)を続けている以上、いつかは現場に戻りたいという気持ちがあったので、栗山監督のお誘いは良い機会だと思ってお受けしました。

――栗山監督とはどんな話をしましたか?

 あまり長い話はできていません。コーチとしてしっかりしていこうというといった話はありましたが、印象に残っているのは「人間死ぬまで勉強。いっしょに勉強していこう」といった話をしました。現役を辞めて11年が経ちコーチ業が初めてとなる私にとって、この言葉によってホッとした気持ちになりました。

 そのほかには、栗山監督から直接言われた訳ではありませんが、コーチ同士、選手とのコミュニケーションをしっかり取ってほしいということは強く言われています。

――プロでのコーチ経験がないことでの不安はありますか?

 目の前にすごい先輩(栗山監督)がいるので、心強いです。現場経験がない中で監督という重責を担っている方がいる訳ですから、自分が何か詰まった時などは相談していきたいと思っています。
 栗山監督が昨シーズン、結果を出してもらったのは嬉しかったし、勇気をもらいました。私は現役時代、実績を残せた訳でもなく、すごい記録を持っている訳ではないので、自分がユニホームを着たいと思った時、栗山監督の存在は大きかったです。

栗山監督が向く“選手を信じる野球”を目指して

――現在はどんな気分?

 高校から大学に進んだ時の心境に似ていますね。私は高校で野球を辞めようかなとまで思っていた中で、東北福祉大に拾ってもらって大学に進学したので、「楽しさが半分、不安が半分」の気持ちで大学に入学しました。その気分です。

 指導者としてプロの世界に入ってきた選手を指導するというのが、今は想像できないというのが正直なところ。こうしてあげたいといったことや、こういう存在でありたいという気持ちはありますが、「これをやるんだ」「これを成し遂げるんだ」といった気負いはありません。

 私をはじめ、今シーズンはコーチ陣がリフレッシュされましたが、昨シーズンのリーグチャンピオンチームなのだから、福良(淳一)さんや清水(雅治)さんが残したものを続けていきながら、私を呼んでもらった意味を考えてやっていきたい。

――日本ハムには若い選手が多いですが?

 今年はWBCがあり、中田、陽が抜ける可能性があります。1軍で対外試合の経験を積めるチャンスなので、これを生かしてほしいと思います。コーチとしては、この経験から見えてきた課題をその日のうちに解決させてあげたいと思います。現役時代、試合の翌日に、「今日からまたやってやろう」と気持ちを切り替えたにもかかわらず、コーチから課題を指摘されるのが嫌でした。1試合1試合、選手は気持ちを切り替えてやっていきますので、課題が分かった時はすぐに直せるように接していこうと思います。

 チャンスは必ずあります。それをものにできるかは、チャンスの場にいることが必要です。しかし、選手は自分で気持ちを切ってしまう時があります。その気持ちをつなげられるようにして、チャンスの時にチャンスをものにできるようにしてあげたいと思います。

――コーチ就任の意気込みは?

プロの世界は個人個人の集団で成り立っていますが、私は野球というのはあくまで“チームスポーツ”だと思っています。北海道日本ハムは個人個人の力を尊重しながら、その個人をチームとして力を発揮できるよう、よくまとまっているなと思います。昨シーズンの北海道日本ハム、栗山監督は“選手を信じる野球”でリーグ優勝を果たしました。

 今シーズンのパ・リーグも、昨シーズン同様、どのチームが勝ってもおかしくない混戦が予想されます。私もチームの長が向いている“選手を信じる野球”という方向性を向いてやっていきたいと思います。

<了>

大塚光二/Koji Otsuka

 1967年8月26日生まれ。兵庫県出身。育英高−東北福祉大−西武。180センチ、78キロ。右投げ左打ち。育英高で本格的に野球を始める。東北福祉大では主将を務め、同級生の佐々木主浩(元横浜・マリナーズ)、後輩の金本知憲(阪神)らとプレーした。89年のドラフト3位で西武に入団。抜群の勝負強さで西武の黄金時代を支えた。2001年に引退後は野球解説者として活躍。社会人野球クラブチーム「一球幸魂倶楽部」の総監督も務めている。2013年シーズンから北海道日本ハムの1軍外野守備・走塁コーチに就任する。

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