最下位から「這い上がれ」 中畑DeNA2年目の挑戦
1軍で結果を出したルーキー・高城、桑原、伊藤
後半戦1軍昇格を目前にしながら、試合中の接触プレーにより首を故障し、初昇格を見送られた「気迫の塊」乙坂智は、シーズン終了後「もう悔しくて悔しくて、危うく(初安打を放った)桑原を殴ってしまうところでした(笑)」と悔しさをにじませながら来季の1軍デビューを見据える。
そのほか、ドラフト1位の北方悠誠、内野手の渡邊雄貴、飛雄馬もこの1年で力をつけてきたと首脳陣からの評価も高い。育成では、ルイーズのフリー打撃で中畑清監督の目にとまった150キロ右腕、冨田康祐。桑原が目を丸くした西森将司の快足も楽しみな要素。育成選手として再スタートを切ることになった佐村・トラヴィス・幹久、古村徹の巻き返しもドラマとしては面白い。
山下2軍監督「伸びてもらわなきゃチームが困る」
今季最終戦での中畑監督の大演説。12球団一弱いDeNAが勝つために必要なモノ。それをつかむために「地獄を見てもらう」と宣言されたシーズンオフ。そのスタートは10月8日。ハマスタで今季最終戦が行われている中、宮崎で開幕したフェニックスリーグから始まった。
「教育リーグという性質上、育成クラスの選手を中心に使うチームもありますが、今のDeNAの立場上、そんな余裕はない。筒香や荒波、石川雄洋に梶谷、内村賢介ら1軍の試合に出ていた選手も含め、若い選手でどんどん競い合ってチーム力を上げる。彼らには絶対に伸びてもらわなきゃチームが困りますから」
フェニックスリーグの指揮を執った山下大輔2軍監督がそう言うように、先発メンバーには荒波、梶谷、石川、内村、筒香が並ぶなど1軍戦のシーズンさながらで挑んだ。投手では国吉、加賀美、小杉陽太など来季ローテとして期待される選手に“先発・完投”を意識させ、石川、梶谷、内村がショート、セカンドのほか、外野で起用されるなどオプションも試験した。野手では高城が「プロの球に慣れてきたからだと思うんですが、高校時代の近いポイントで打てるようになった」と、コンパクトな打撃で右方向を中心に安打を量産。「何とかなってもらわないと困る」と山下監督が言う、国吉は格下相手には上から見下ろす圧巻のピッチング。加賀美も広島戦で完投勝利を挙げ、小杉も抜群の出来で首脳陣からの評価もうなぎ上り。中継ぎでは、フォームを改造し力強さが増した阿斗里、佐藤祥万の力強いピッチングが印象に残った。