最下位から「這い上がれ」 中畑DeNA2年目の挑戦

村瀬秀信

1軍で結果を出したルーキー・高城、桑原、伊藤

後半戦、スタメンマスクの機会が増え、正捕手が間近となった高城 【(C)YDB】

 ドラフトで指名した9人中8人が高校生だった昨年のルーキーからは、高城俊人、桑原将志、伊藤拓郎の3人が1軍昇格を果たした。特に高城は7月18日の中日戦でルーキー1番乗りの初出場・初スタメンを果たし、後半戦ではスタメンマスクの機会も増え正捕手に手が届くところまできた。桑原は10月1日にプロ初出場初安打を記録、イースタンの試合を7試合連続無失点で乗り切った伊藤拓郎も10月に1軍に昇格。2試合に登板し、キレキレのスライダーでそれぞれ1イニングを無失点に抑え、公式戦でいまだに点を取られていない。

 後半戦1軍昇格を目前にしながら、試合中の接触プレーにより首を故障し、初昇格を見送られた「気迫の塊」乙坂智は、シーズン終了後「もう悔しくて悔しくて、危うく(初安打を放った)桑原を殴ってしまうところでした(笑)」と悔しさをにじませながら来季の1軍デビューを見据える。
 そのほか、ドラフト1位の北方悠誠、内野手の渡邊雄貴、飛雄馬もこの1年で力をつけてきたと首脳陣からの評価も高い。育成では、ルイーズのフリー打撃で中畑清監督の目にとまった150キロ右腕、冨田康祐。桑原が目を丸くした西森将司の快足も楽しみな要素。育成選手として再スタートを切ることになった佐村・トラヴィス・幹久、古村徹の巻き返しもドラマとしては面白い。

山下2軍監督「伸びてもらわなきゃチームが困る」

「もう、DeNAベイスターズの弱さは十分に分かりました。何が足りないのか、何が必要なのか。 十分に分かっております! あとはDeNAフロント、そして現場と共に最高の準備をこのオフにし、来季はファンの皆さん、一緒にクライマックスを戦いましょう」

 今季最終戦での中畑監督の大演説。12球団一弱いDeNAが勝つために必要なモノ。それをつかむために「地獄を見てもらう」と宣言されたシーズンオフ。そのスタートは10月8日。ハマスタで今季最終戦が行われている中、宮崎で開幕したフェニックスリーグから始まった。

「教育リーグという性質上、育成クラスの選手を中心に使うチームもありますが、今のDeNAの立場上、そんな余裕はない。筒香や荒波、石川雄洋に梶谷、内村賢介ら1軍の試合に出ていた選手も含め、若い選手でどんどん競い合ってチーム力を上げる。彼らには絶対に伸びてもらわなきゃチームが困りますから」
 フェニックスリーグの指揮を執った山下大輔2軍監督がそう言うように、先発メンバーには荒波、梶谷、石川、内村、筒香が並ぶなど1軍戦のシーズンさながらで挑んだ。投手では国吉、加賀美、小杉陽太など来季ローテとして期待される選手に“先発・完投”を意識させ、石川、梶谷、内村がショート、セカンドのほか、外野で起用されるなどオプションも試験した。野手では高城が「プロの球に慣れてきたからだと思うんですが、高校時代の近いポイントで打てるようになった」と、コンパクトな打撃で右方向を中心に安打を量産。「何とかなってもらわないと困る」と山下監督が言う、国吉は格下相手には上から見下ろす圧巻のピッチング。加賀美も広島戦で完投勝利を挙げ、小杉も抜群の出来で首脳陣からの評価もうなぎ上り。中継ぎでは、フォームを改造し力強さが増した阿斗里、佐藤祥万の力強いピッチングが印象に残った。

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著者プロフィール

1975年8月29日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身。プロ野球とエンターテイメントをテーマにさまざまな雑誌へ寄稿。幼少の頃からの大洋・横浜ファン。

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