ミミ萩原と『ロッキー』のあの人も登場する伝説の女子プロ映画

しべ超二

「負けてたまるか!!」大谷晋二郎のメッセージが伝わってきたかの錯覚

ドールズの入場衣装は小林幸子かジュディ・オングといったところのキラびやかさ 【…All the Marbles (c) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved】

 そしてここで必見というより、否が応でも目についてしまうのがドールズ入場衣装のキラびやかさ。さながら紅白の小林幸子か「魅せられて」のジュディ・オングといったところで、スパンコールが乱反射して3D映像かといった錯覚を起こす。ここでもたらされる高揚感は、思わず口に出さなくても、劇中の観客と一緒に「We want Dolls!」と心中コールしてしまうほどだ。
 映画は王者であるトレド・タイガーズとドールズの試合をたっぷり描写。ここまでどん臭かったドールズのファイトが一気に洗練を見せる。ドロップキック、ジャイアントスイング、ダイビング・ボディプレスと様々な技を繰り出し、観客も熱戦にヒートアップ。ここもさながら『ロッキー』を思わせた。

 不況に沈む街で、決して人生をうまくやれていない男と女が自らの誇りを取り戻すために戦い、そして輝く。大々的に報じられるものではなくても(テレビ中継はついてるけど)、己の道を行き、その上で目標を成し遂げる。
 ドールズの姿を通して「どんなことがあろうと、どんな障害があろうと、どんな邪魔が入ろうと、どんな意地悪されようと、この気持ちがあれば大丈夫だ! 負けてたまるか!!」という大谷晋二郎のメッセージが伝わってきたかの錯覚を持った。

シアターN渋谷」は、12月2日をもって7年の歴史に幕

マネージャーのハリーを演じた名優ピーター・フォークもいまはもういない 【…All the Marbles (c) 1981 Warner Bros. Pictures International. All Rights Reserved】

 なお本作を東京で上映中の「シアターN渋谷」は、12月2日をもって7年の歴史に幕をおろす。思えば監督のロバート・アルドリッチも、マネージャーを演じたピーター・フォークもすでにこの世にはいない。亡き者、そしてフィナーレを迎える映画館がともに奏でる協奏曲が胸に響くが、去りゆくものには他のものではまといえない凛とした美しさがある。
 本作を鑑賞した観客たちはシアターN渋谷へ拍手を送るように、エンドロールが終わり場内が明るくなるまで誰ひとり席を立たなかった。


映画『カリフォルニア・ドールズ』ニュープリント版はシアターN渋谷クロージングにて公開中
他、全国順次公開

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著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

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