香川真司が抜けたドルトムントの現状=CLでの躍進とリーグ戦不調の真実
王者を苦しめる対戦相手のプレーの変化
リーグでの不調とは裏腹に好調を維持するCL。その理由は何なのか? 【写真:AP/アフロ】
しかし、ブンデスリーガでは真っ向から向かってくるクラブが少ない。ドルトムントは2連覇を果たしたことでドイツ中から賛辞と称賛を受けた。それは同時にほかのクラブからのこれまでにないマークと対抗意識を受けることになった。
開幕前にバイエルン会長のウリ・へーネスは「これまで彼らはFCバイエルンの影を歩いてきた。その中では戦うことは簡単だ。しかし、今や彼らは追われる身だ。2年連続優勝チームとしてこれまで長年FCバイエルンがしてきた経験をすることになる。どの対戦相手もシーズンの決定戦のつもりで立ち向かってくる」と警告していたが、その言葉通りドルトムントは各試合で相手チームの必死の抵抗に遭い、特にアウエーでは第9節のフライブルク戦で勝利するまで1勝もすることができなかった。
残留争いをする下位チームだけではなく、上位チームでもドルトムント対策として時に守備ラインを極端なまでに深く敷き、中盤ではファウル覚悟の激しいプレスをしかけてきている。引き分け狙い、うまくいけばカウンターからの得点を守りきっての勝利と割り切っている相手だけに前におびき出すことが難しい。
難しい「モチベーション」と「集中力」維持
とはいえリーグ2連覇、リーグとカップ戦の2冠はだてじゃない。試合を重ねるごとにチームの調子は上がってきている。チームの内の連係も良くなってきた。前述のフライブルク戦も苦戦しながら2−0で勝利。火曜日にはアーレンとのドイツカップ2回戦を4−1と順当勝ち。特にドルトムントはドイツカップでここ2年、格下相手に苦労をしていただけに、問題なく勝てたことは現在のチームの充実度を物語っている。
リーグではここまでバイエルンが独走していたが、前節初めて黒星を喫した。もちろんまだ勝ち点差での広がりがあるが、昨シーズンも一時は勝ち点差11を付けられながらも前半戦でその差を詰め、見事に逆転でリーグ優勝を果たしたのだ。大型補強を敢行したバイエルンが昨シーズンと同じ失敗をするとは思えないが、だからといってこのままバイエルンの一人勝ちでは面白くない。そして今季そのバイエルンに対抗できるのは、シャルケ04と王者ドルトムント以外には考えられない。
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