『ロッキー』ゆかりの街探訪記、ぶらりしべ超二

しべ超二

マーケット、アパート……名場面の数々を彩った建物も現存

あの名場面となったアパートも現存 【しべ超二】

 ロッキーがロードワークに励むのがフィラデルフィア南部に位置するイタリアン・マーケットと呼ばれる地域。実際にスタローンが走った場所までは特定できなかったが、撮影中、本物のボクサーだと思った果物屋店主がリンゴを投げたという人情味あふれる街並み、撮影時の雰囲気は今も残されており、『ロッキー』の空気を伝えるオープンセットとして機能している。

 ロッキーが暮らし、訪ねてきたミッキーと一度は喧嘩し、追いかけて仲直りをする名場面となったアパートも現存。映画のロッキーと同じルートでロードワークしようとするとかなりの距離になってしまうが、そこはこれもムービーマジック(編集の妙味)。
 アパートの近所にはボクシングジムがあり、未来のロッキーを目指してちびっ子からハングリーな若者までが汗を流していた。

『エクスペンダブルズ2』でもロッキーパンチ!

フィラデルフィアといえばハードコアの聖地・ECWアリーナ、映画『レスラー』の舞台にもなった 【しべ超二】

 そしてフィラデルフィアといえばハードコアマッチで鳴らしたECWの聖地・ECWアリーナがあった場所でもあり、こちらはその後アサイラム・アリーナと名を変え、昨年新日本プロレスが東海岸ツアーを行った際にも試合の舞台となっている。
 映画繋がりで言うなら、ミッキー・ローク主演『レスラー』でCZWの試合シーンとして使われたのもこの会場であり(当時はアルハンブラ・アリーナ)、やはりフィラデルフィア、格闘技・映画とは縁深い地であるようだ。

 と、ここまで見てきて『エクスペンダブルズ2』なら『ロッキー』ではなく『ランボー』ゆかりの地を訪ねた方がいいんじゃないかと声が出そうだが、本編を見ればなぜ『ロッキー』であったのかがきっと理解できるはず。
 本作でスタローンが演じているのは消耗品軍団を率いるバーニー隊長という役柄なのだが、そんな隊長が格闘シーンで見せるのが、もうそれ以外何物でもない「ロッキーパンチ」。シリーズでたびたび見せた、ボクシングにあるまじきバックスイングパンチが本作でも遺憾なく振るわれている(まずボディを効かせてから顔面へ上がる、例の打ち方)。
 あのダイナミックなバックスイング=溜めの大きさこそ、相手に抱いた怒りの大きさを表すスタローン一流の感情表現なのだ! と結んだところでまた次回。

映画『エクスペンダブルズ2』は全国公開中

2/2ページ

著者プロフィール

映画ライター。ペンネームは『シベリア超特急2』に由来し、生前マイク水野監督に「どんどんやってください」と認可されたため一応公認。松濤館空手8級。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント