因果は巡るか、3歳牝馬エピセアローム=乗峯栄一の「競馬巴投げ!」
お目当てはダイワスカーレットの初仔
[写真1]安田隆3頭出しの1頭ダッシャーゴーゴー、十分勝ち負けを狙える位置にいる 【写真:乗峯栄一】
予定していた6時開場の坂路一番乗りに間に合わなかったので、「こりゃ、カレンチャンは無理か」と勝手に判断し(実際は一番乗りではなかったようだが)この日は調教スタンド前の広い下見所でウロウロしてGIゼッケンを待つという、消極的カメラマンとして過ごすこととする。
[写真2]こちらはロードカナロア、能力的にはアッサリがあっても驚けない 【写真:乗峯栄一】
それでも安田隆3頭出しのうち、ダッシャーゴーゴー[写真1]とロードカナロア[写真2]は7時過ぎに、2頭並んでゆっくりと目の前を通り過ぎてくれて、「うわっ、千載一遇、盲亀の浮木、優曇華の花」てな訳の分からないことを言いながら、バチバチカシャカシャ、シャッターを押す(カレンチャンは結局目の前を通らなかったので、セントウル前の写真でごめんなさい[写真3])。
敏腕女性担当のパドトロワ、ここで初GI来るか
[写真3]そして大本命のカレンチャン、短距離GI3連覇なるか 【写真:乗峯栄一】
男社会のトレセンで、女性が長く厩舎仕事をやるのは大変だと思う。鮫島厩舎が開業した10数年前、開業祝いを言いに行くと、馬房の天井を直すとかで壁面をよじ登っている女性がいて驚いた。それがこの金山助手で、当時はまだ独身で“宮”なんとかという旧姓だったと思う。その後、結婚して金山さんになったが、ご主人は競輪の金山栄治選手だ。結婚を機に、金山選手は広島選手会から滋賀選手会に移籍した。それだけ男を動かす女性なんだ、きっと。
[写真4]パドトロワと金山調教助手(右)、鮫島厩舎に初GIをもたらすか 【写真:乗峯栄一】
そんなことをしながら、ようやく3頭のGI出走馬を撮って、まあこんなものかとベンチに座って落胆しいると、「コーヒー入れたげようか」と声を掛けてくる人がいる。「うっ?」と顔を上げると馬場監視員の制服を着た人がこっち見て笑っている。「誰? 馬場監視員なんか知り合いいないよ」と思ったが、よく見ると、ダイワエルシエーロ、ダイワスカーレットを担当していた松田国厩舎の斎藤正敏元厩務員[写真5]ではないか。そうだ、斎藤さん、定年退職後、馬場監視員の仕事をしていると聞いていた。
「わあ、斎藤さん、斎藤さんじゃないですか、今日、松国厩舎に、スカーレットの子供見せてもらいに行こうと思ってるんですよ」と、思わず抱きついてしまう。