米MMAの華が初主演、女性アクション映画の魅力=「帰ってきたシネマ地獄拳」第2回
リュック・ベッソン“女殺し屋”新作主演は『アバター』女優
『アバター』ヒロインのサルダナが華麗なアクションを披露 【(C)2011 EUROPACORP - TF1 FILMS PRODUCTION - GRIVE PRODUCTIONS】
リュック・ベッソン製作で、両親を殺された少女が殺し屋となり復讐を誓う――というと、どうにも同じベッソンの『ニキータ』や『レオン』を思い出させるが、冒頭の『ポリス・ストーリー/香港国際警察』を想起させるチェイスシーンや、マヌケになりかねない全身タイツを見事に着こなすサルダナの熱演もあり、なかなかに引き込まれる。
そんなサルダナが本作のために事前訓練を積んだというのが、イスラエルで考案された格闘術クラヴ・マガ。本作に関連したインタビューで運動は得意なタイプじゃないと告白しているサルダナだが、しなやかな肢体をキレよく振り回し、様になったアクションを披露している。
しかしタオルや歯ブラシといった身近な物を使う、70年代ジャッキーに通ずる格闘シーンこそあれ、残念ながらクラヴ・マガの何たるかは本作では分からない。だが、ここも「生き方が、芝居に出る」という健さんの言葉通り、サルダナが撮影前にクラヴ・マガの訓練に励んだことが、見応えのある格闘シーンを生み出しているのだろう。
聞けばサルダナは、ダンスとバレエの経験者とのことでその下地が立ち回りにも活きているのかもしれない。いや、ダンスと格闘は別物だろうと侮るなかれ、極真カラテの故・大山倍達総裁の「バレリーナとは喧嘩するな」という言葉もある。自分の手足・体を自由に操るダンサーは、格闘家やアクションスターとなる素養に溢れているのかもしれない。
そう考えると、士道館がマイケル・ジャクソンに名誉五段を与えたのも、その体さばきや身体能力を評価してのことだったのでは、なんて思えてきたりもする。
肉食・パワー系というべきジーナに対し、全編女豹のようなしなやかさを見せるサルダナだが、終盤ではロケットランチャーまで使いこなすに至り、こちらもジーナと一緒に『エクスペンダブルズ』第3作出演でいいのではと思わされるのであった。
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