鮫島彩、仙台への帰還と挑戦=2部チームから目指すさらなる高み
ベガルタ仙台レディース移籍が発表され会見に臨んだ鮫島 【小林健志】
妥当でもあり、驚きも感じる決断
そんな中11年3月11日に起きた東日本大震災の影響で東京電力福島第一原子力発電所で事故が起き、東電マリーゼはなでしこリーグへの参戦を断念。プレーの場を失った鮫島は米国のボストン・ブレイカーズに新天地を求め、女子W杯後はフランスのモンペリエに移籍した。
そしてロンドン五輪を間近に控えた7月9日、鮫島のベガルタ仙台レディース移籍が正式発表となった。ベガルタ仙台レディースは休部となった東電マリーゼが移管されたチームで、現在はINAC神戸レオネッサなどが加盟するなでしこリーグの下部となる2部相当のチャレンジリーグに加盟している。かつてのチームメートが18名所属しているチームに戻る、高校時代を過ごした街に戻るという観点で見ると妥当な決断だが、代表経験者が日本の2部チームに所属するという観点で見ると、驚きを感じる決断でもあった。
大きな影響を与えたチームメートの存在
マリーゼ時代のチームメートとは「以前からほぼ毎日のように連絡を取っていた。W杯期間中も五輪期間中もたくさんメールをもらって常に連絡を取っていた。ベガルタの練習や生活の様子も頻繁に話を聞いていた」といい、マリーゼ時代のチームメートや常盤木学園高時代の友人・恩師との人的つながりは、鮫島が移籍を決断する上で大きな影響を与えていた。
戻ってきたという感覚が強いか、新しいチャレンジという気持ちが強いかという問いには「両方の感覚がある。今回決断したのはチームメートがいたからであり、その点では戻ってきた感触が強いが、これから自分が成長してもっと前に進むために決断したので、そういう意味では新たなチャレンジ」と語った。
今回ベガルタ仙台レディース初のプロ契約となったことも一つの挑戦だ。「ほかの選手が日中に仕事しながら練習をするという点で違った責任がある。女子サッカーが発展していくためには環境の向上が今まで以上に必要になり、母校の常盤木学園の選手たちがベガルタ仙台でプレーしたいともっと思えるようなチームになってほしいという思いもあり、プロ契約させていただいた」と女子サッカーの将来も考えてプロ選手となり、自分を高めるための移籍であることを強調した。