予測が難しい今季のF1、後半戦も“カオス”か=期待される可夢偉の巻き返しと表彰台獲得

田口朋典

ミスが散見されたザウバー勢

ミスも散見されるザウバーだが、可夢偉には久々の日本人ドライバーによる表彰台獲得が期待される 【Getty Images】

 だが、このランキングトップ8に次ぐ、9〜10位につけるセルジオ・ペレスとわれらが小林可夢偉(以上ザウバー)にとっては、もどかしい前半戦ではなかったか。5回の入賞を記録しつつも表彰台に届かなかった可夢偉はもちろん、2度の表彰台フィニッシュで大いに株を上げたペレスにしても、今季最高のマシンとも言われるザウバーC31を擁しながら不完全燃焼に終わったレースが多かった。

 明らかな戦略上のミスや他チームと比較にならないほど遅いピットストップタイムによって、2人のドライバーが上位進出を阻害されるなどチームに改善すべき点が多々あることは間違いないが、不用意なクラッシュやピットストップでのミスなど、ドライバー側にも上位ランカーには見られないようなミスが散見された前半戦だった。

 ペレス、可夢偉ともに来季の契約が決まっていないだけに、後半戦での巻き返しが不可欠と言えるが、特に可夢偉にはドイツの4位を上回るリザルト、すなわち久々の日本人ドライバーによる表彰台獲得を期待しないわけにはいかない。今季の可夢偉には、マシンを含めてそれだけの可能性があるだけに、願わくば昨年、可夢偉自身納得のいく走りができず悔しい思いをしたであろう、鈴鹿での日本GPで……。というのは夢を見すぎだろうか。

 1〜2週間という短いインターバルで最終戦ブラジルまで息つく暇もないままに続く後半戦。“カオス”と称された混戦模様を抜け出した感のあるアロンソだが、長いインターバルに各チームが体勢を立て直し、その勢力図が後半戦に激変することはありがちな話だ。ウェバー&ベッテルのレッドブル勢、さらにはハミルトン、ライコネンといった強者たちが形勢逆転を果たす可能性も十分あるだけに、残り9戦でどのようなドラマが展開されるか予測は難しい。そういった意味で、今季F1の代名詞とも言うべき“カオス”はまだ終わったわけではないのかもしれない。

<了>

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著者プロフィール

1966年生まれ。大学卒業後、趣味で始めたレーシングカートにハマり、気がつけば「レーシングオン」誌を発行していたニューズ出版に転職。隔週刊時代のレーシングオン誌編集部時代にF1、ル・マン、各種ツーリングカーやフォーミュラレースを精力的に取材。2002年からはフリーとなり、国内外の4輪モータースポーツを眺めつつ、現在はレーシングオン誌、オートスポーツ誌、CG誌等に執筆中。自身のブログ“From the Paddock”(スポーツナビ+ブログで)では、モータースポーツ界の裏話などを披露している

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